V1リーグ女子のファイナル進出チームを決めるファイナル4(豊田スカイホール)開催前日の4月14日、兵庫県姫路市のホテルで異例の記者会見が行われた。
壇上に現れたのは、7、8日の入れ替え戦(V・チャレンジマッチ)に連敗し、2部にあたるV2降格が決まったばかりのヴィクトリーナ姫路の橋本明球団社長。
メディアに送られた〈取材のご案内〉は【V・チャレンジマッチ 0勝2敗 で敗退 「ヴィクトリーナ姫路」V2降格 謝罪会見】というもの。会見時のバックパネルに掲げられたタイトルサインからは「謝罪」という文言は外されていたが、トップリーグから降格したチームの責任者が「謝罪会見」を行うのは、バレー界では極めて異例のことだ。
チームは、2022/23年シーズンを5勝28敗で終わり、就任1年目の安保澄監督を3月30日に事実上、解任。入れ替え戦はコーチが代理監督として臨んだが連敗。入れ替え戦直前の監督交代が裏目に出た形となった。
会見では橋本社長が成績不振や降格を謝罪し、責任を取る形で、5月末で球団社長を退任することとあわせ、次期監督にVリーグを制したこともある前オランダ女子代表監督のアビタル・セリンジャー氏(64)の就任も発表した。
謝罪会見と次期監督の発表を同時に行う手際の良さ。
しかし、本来なら「謝罪」と「新監督決定」は別々に開くものだろう。そこに、橋本社長自らが「シーズンを通して迷走した」と吐露したヴィクトリーナ姫路の“事情”が凝縮されていた。
2019年5月からGMとしてチーム強化に携わっていた安保氏が監督に就任したのは、昨年5月。12位、10位と順位を上げてきたが、21-22年シーズンは主力選手のケガが相次ぐなどしてレギュラーラウンドで11位に終わり、立て直しを託された。
安保氏はVリーグ女子チームのコーチを経て、2009年から12年まで女子代表のコーチ。ロンドン五輪では銅メダルに導いた眞鍋監督を支え指導力には定評があり、就任直後の抱負も「現在の自分たちの実力を把握し、3シーズン下位にとどまっている現状を踏まえた時、下位から抜け出しまず中位の位置に行くこと」と堅実なものだった。
就任当初、チーム作りは順調に進んだ。
Vリーグチームなど12チームが参加した7月のサマーリーグ(西部大会)に4位。シーズンを控えた9月初旬の近畿総合男女選手権では、初優勝を飾った。
「しかし、世界選手権で(オランダ代表の)セレステ・プラクの合流が遅れるなどしたこともあり、開幕のスタートが良くなく、そこから悪循環に陥った」(橋本社長)という。
開幕から13連敗。橋本社長は「安保監督は真面目な人で、負けが込むと練習時間が長くなり、(その結果)コンディション不良を招いたりけが人が出たりして、立て直すのが難しくなった」と説明。
厳しい練習にも結果が伴わないことで「不仲ではありませんが、チーム一体としてまとまり切れず、シーズンを通して迷走しました」と明かす。
最下位でシーズンを終え、入れ替え戦が決まったところで経営陣が下したのが、監督交代だった。
「我々はプロチーム。プロは結果がすべて」と橋本社長。成績的には前年の8勝25敗と「3勝」しか変わらなかったが、ストレート負けが6試合から17試合に急増。「負け方の内容に問題が多かった」と振り返った橋本社長は、「スポンサーとファンの声が重要な判断材料になった」と続けた。
「これまでは負けても文句を言いながら来てくれた人が、無関心になってどんどんチームから離れていってしまった」
地元密着で400社を超える支援企業などから約6億円の収入を得ているが、親会社の支援を受けることが出来る企業チームとは違い、プロチームである以上、外部の声に敏感であるのは想像に難くない。1年での監督交代に時間はかからなかった。
壇上に現れたのは、7、8日の入れ替え戦(V・チャレンジマッチ)に連敗し、2部にあたるV2降格が決まったばかりのヴィクトリーナ姫路の橋本明球団社長。
メディアに送られた〈取材のご案内〉は【V・チャレンジマッチ 0勝2敗 で敗退 「ヴィクトリーナ姫路」V2降格 謝罪会見】というもの。会見時のバックパネルに掲げられたタイトルサインからは「謝罪」という文言は外されていたが、トップリーグから降格したチームの責任者が「謝罪会見」を行うのは、バレー界では極めて異例のことだ。
チームは、2022/23年シーズンを5勝28敗で終わり、就任1年目の安保澄監督を3月30日に事実上、解任。入れ替え戦はコーチが代理監督として臨んだが連敗。入れ替え戦直前の監督交代が裏目に出た形となった。
会見では橋本社長が成績不振や降格を謝罪し、責任を取る形で、5月末で球団社長を退任することとあわせ、次期監督にVリーグを制したこともある前オランダ女子代表監督のアビタル・セリンジャー氏(64)の就任も発表した。
謝罪会見と次期監督の発表を同時に行う手際の良さ。
しかし、本来なら「謝罪」と「新監督決定」は別々に開くものだろう。そこに、橋本社長自らが「シーズンを通して迷走した」と吐露したヴィクトリーナ姫路の“事情”が凝縮されていた。
2019年5月からGMとしてチーム強化に携わっていた安保氏が監督に就任したのは、昨年5月。12位、10位と順位を上げてきたが、21-22年シーズンは主力選手のケガが相次ぐなどしてレギュラーラウンドで11位に終わり、立て直しを託された。
安保氏はVリーグ女子チームのコーチを経て、2009年から12年まで女子代表のコーチ。ロンドン五輪では銅メダルに導いた眞鍋監督を支え指導力には定評があり、就任直後の抱負も「現在の自分たちの実力を把握し、3シーズン下位にとどまっている現状を踏まえた時、下位から抜け出しまず中位の位置に行くこと」と堅実なものだった。
就任当初、チーム作りは順調に進んだ。
Vリーグチームなど12チームが参加した7月のサマーリーグ(西部大会)に4位。シーズンを控えた9月初旬の近畿総合男女選手権では、初優勝を飾った。
「しかし、世界選手権で(オランダ代表の)セレステ・プラクの合流が遅れるなどしたこともあり、開幕のスタートが良くなく、そこから悪循環に陥った」(橋本社長)という。
開幕から13連敗。橋本社長は「安保監督は真面目な人で、負けが込むと練習時間が長くなり、(その結果)コンディション不良を招いたりけが人が出たりして、立て直すのが難しくなった」と説明。
厳しい練習にも結果が伴わないことで「不仲ではありませんが、チーム一体としてまとまり切れず、シーズンを通して迷走しました」と明かす。
最下位でシーズンを終え、入れ替え戦が決まったところで経営陣が下したのが、監督交代だった。
「我々はプロチーム。プロは結果がすべて」と橋本社長。成績的には前年の8勝25敗と「3勝」しか変わらなかったが、ストレート負けが6試合から17試合に急増。「負け方の内容に問題が多かった」と振り返った橋本社長は、「スポンサーとファンの声が重要な判断材料になった」と続けた。
「これまでは負けても文句を言いながら来てくれた人が、無関心になってどんどんチームから離れていってしまった」
地元密着で400社を超える支援企業などから約6億円の収入を得ているが、親会社の支援を受けることが出来る企業チームとは違い、プロチームである以上、外部の声に敏感であるのは想像に難くない。1年での監督交代に時間はかからなかった。