今季のF１はここまで３戦を終えたが、アルファタウリの角田裕毅はバーレーン、サウジアラビア・グランプリと連続して11位という悔しい終わり方の後、オーストラリアGPでは繰り上げながらも10位入賞を飾り、初のポイント獲得を達成した。
 
　３戦目での初入賞はキャリアで最も遅いが（過去２年は開幕戦で入賞）、今季の車「AT04」の性能の低さを考えれば、角田はその力を十二分に引き出していると言え、さらに全レースでポイント圏内に肉迫し、メルボルンではリスタート後の混乱をうまく切り抜けて５番手まで浮上するなど、その高いパフォーマンスはチームや各国メディアから高い評価を下されている。

　英国のモータースポーツ専門サイト『MOTORSPORTWEEK』は、「来季以降のF１残留が脅かされていたが、この日本人ドライバーは今季ここまで、プレッシャーの下でも輝きを放っており、開幕からまだ間もないにもかかわらず、契約延長に大きく近づいている」と綴り、ここまでの歩みを振り返りながら、その成長ぶりを称賛した。

　F１デビュー前の合同テストでトップタイムを計測したり、開幕戦でいきなり９位入賞を果たしたことで主役のひとりとなるも、間もなくして一貫性に欠ける面が明らかになり、また無線での罵声など感情のコントロールにも問題を抱えると指摘され、最終的には成績では同僚ピエール・ガスリーに大差をつけられたデビューシーズンを経て、２年目はパフォーマンスが改善されたものの、やはりチームメイトにも勝てなかった角田だが、今季は新たにコンビを組むニック・デ・フリースに全戦で上回っている。

　同メディアは、ルーキーながらも、F２やフォーミュラEでタイトルを獲得するなど実績十分な28歳のオランダ人ドライバーに決勝だけでなく、予選ではバーレーンで約0.7秒、サウジで約0.3秒、そしてメルボルンで約0.2秒の差をつけた角田について、「これまでにない脅威に晒された状態でシーズンをスタートしながら、２年間のキャリアでプレッシャーへの対処の仕方を学んだのか、ここまでチームを満足させている」と、ポジティブに評した。

「アルファタウリのパフォーマンスが不足している中、角田のシーズンを評価づけるのは、チームメイトとの比較であり、デ・フリースにどれだけの差をつけてシーズンを締めくくるかである」という同メディアは、レッドブル・ジュニアチームからF２でここまで好調な岩佐歩夢やスーパーフォーミュラでいきなり優勝したリアム・ローソンといった逸材の突き上げがあることに言及しながらも、ドライバー人事の鍵を握るのは「角田がシーズンを通して一貫したペースを維持できるか」にあると指摘している。