バレーボール

【女子バレー】31歳で日本代表に“異例”の初選出! ひた向きな努力で“憧れの舞台”を手繰り寄せた青柳京古「夢じゃないんですか」

北野正樹

2023.05.13

31歳にして日本代表に初選出された青柳。これまで大舞台の経験はほとんどない。写真:北野正樹

 日本バレーボール協会(JVA)の2023年度の女子日本代表登録メンバー(40人)に、31歳の青柳京古(182センチ、埼玉上尾メディックス)が初めて選出された。中学1年からバレーを始めた遅咲き選手で、バレー界では30歳を超えて初めて日本代表に選ばれるのは異例。高校1年で、ともに将来のオリンピアンを誓った級友は2016年リオデジャネイロ五輪のアーティスティックスイミングで銅メダルを獲得しており、約束の実現に一歩近づいた。

「夢じゃないんですか」

 今年3月中旬、埼玉県上尾市内の合宿所1階の監督室で、青柳は大久保茂和監督の目をじっと見つめた。

「夢じゃないよ。よかったな」。ひと呼吸置き、壁に掛かる時計を見て、机を挟んで向かい合う大久保監督から出された手を握り返した瞬間、涙が溢れ出た。

 昨年、代表内定の知らせがチームに届いたのは1月のこと。今年は2月になっても連絡がないことから「(今年度は)もうないんだ」と諦めていた。だからこそ、喜びもひとしおだった。
 
 夢かどうかを確認したのには、理由があった。

「日本代表になって、オリンピックに出場してメダルをとることが私の目標だったんです。いつも代表になることをイメージしていて、佐藤さん(嗣朗GM補佐)に監督室に呼ばれ、代表入りを告げられる夢などを、何十回も見ていました。でも朝、起きると『夢だったんだ』とがっかりすることばかり。だからあの時、時計を見たんです」

 長野県信濃町出身。ママさんバレーを続けていた家族の影響で、乳幼児のころから体育館に連れられバレーとつながりはあったが、地域に小学生のチームはなく、競技を始めたのは町立信濃中学に入ってから。身長が高く「JOC杯全国都道府県対抗中学大会」の長野県代表に選抜されたが「長身選手枠」で選ばれた意味合いが強く、コートに立った記憶はないほど。進学した長野日大高校、愛知学院大学では全日本大学選手権の出場があるくらいで、ほとんど大舞台での経験はない。
 
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高校の同級生と“約束”を交わして以来、ひた向きに五輪を目指す