食と体調管理

「本当にやりたいスポーツに出会えた」スカイランニングと山岳スキーの2種目で世界へ挑む上田絢加の原動力と食習慣

酒井政人

2023.06.01

 アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのはスカイランニングで世界大会のメダル獲得を目指している上田絢加。大学卒業後にスカイランニングと出会い、仕事と競技を両立。会社員の傍ら、2020年スカイランニング日本選手権〈SKY〉で優勝を果たした。

 世界の舞台へ果敢に挑戦する注目の女性スカイランナーにこれまでの競技歴、その土台となる食への意識、今後の夢などを聞いた。

■学生時代

──子どもの頃はどんなスポーツをされてきたんですか?

 水泳を10年、トランポリンも数年やりました。家族で出かけたスキーも楽しかったですね。とにかくスポーツが大好きでした。

──中学・高校では陸上競技をやられていたそうですね。

 中学は800mを中心にやっていました。短距離は才能の部分が大きく、純粋な走力でトップ選手に勝つのは難しいと思ったので、高校は400mハードルに挑戦したんです。

 高校からの種目ですし、ハードルを極めれば勝てるチャンスがあると考えました。タイム的には全国の100傑に入ったんですけど、大阪はレベルが高くて上の大会に進むことはできませんでした。

──神戸大学に進学された後は、どんなスポーツをやられたんですか?

 入学して基礎スキーのチームに入ったんです。授業がない期間は長野県の戸隠を拠点に練習していました。ただ私が求めていた方向性と少し違っていたこともあり、2年時からは別のスポーツをするようになったんです。

──大学在学中にウルトラマラソンにも参加されています。どのようなきっかけがあったんですか?

 スキーチームをやめて、もやもやしていたんです。そのタイミングでたまたまフルマラソンを走ったらすごく楽しくて、距離を伸ばしたら面白いんじゃないかなと思ってウルトラマラソンに挑戦するようになりました。

──どんな大会に出場されたんですか?

 最初のウルトラは70㎞で、河川敷を7往復するレースでした。走っているときは、「なにやっているんだ?」と思ったんですけど、フィニッシュしたら良かった思い出しか残らなかったんです。

 一番印象に残っているのはチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンですね。富士山を目前にゴールできるので達成感がありました。競技というより、旅行感覚で楽しく走っていた感じです。
 

写真:日本スカイランニング協会

■スカイランニングとの出会い

──大学卒業後はサントリーに入社されました。そのなかでスカイランニング(最初はトレイルレース)とどのように出会ったんですか?

 就職で上京したら、トレイルを走る人が多かったんですよ。それまでトレイルランニングは知らなかったんですけど、社会人2年目(2017年)に興味本位でトレニックワールド㏌外秩父の43㎞に出場したのがきっかけですね。自然のなかを走る感覚は今までなかったので、こんなに心が浄化されるスポーツがあるのかと感動しました。

──そこからスカイランニングに入っていくわけですけど、出会いは〝偶然〟だったそうですね。

 友人から「山を走るイベントあるからおいでよ」と言われて行ったら、2016年スカイランニング世界選手権日本代表の星野和昭さんが教えるスカイランニングの講習会だったんです。

──最初のスカイランニングのレースはいつですか?

 2018年2月の講習会を受けた後、星野さんから「香港に面白い大会があるから行こう!」と誘われました。旅行好きだったので、エントリーしたらスカイランニングのレースだったんです。

 急峻な場所もある50㎞超えの大会で、トータルで3000m以上登りました。きつかったですけど、すごく面白かったですね。しかもアジア選手権だったんですよ。

──結果はいかがでしたか?

 強い日本人選手が他のレースに出ていたこともあって、3位に入ることができたんです。当時はスカイランニングのための練習をしていたわけではないので、正直ラッキーという感じでしたね(笑)。

 その結果で日本スカイランニング協会の強化選手に選ばれたので、そこから本格的に競技に取り組んでいこうと心に決めました。