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石川佳純が最後まで貫いた全力の“美学”とは? 75分間の引退会見で“苦悩”も明かす「追い抜くときはすごく楽しいけど…」

矢内由美子

2023.05.19

4月の大会を最後に引退することを決めた石川。最後まで全力で戦い抜いた。写真:梅月智史

4月の大会を最後に引退することを決めた石川。最後まで全力で戦い抜いた。写真:梅月智史

 5月18日、卓球の五輪3大会連続メダリストである石川佳純(全農)が東京都内で開いた引退会見は、ファンへの感謝で涙を浮かべる場面あり、質疑応答で披露した圧巻の中国語あり、パリ五輪を目指す後輩たちへのエールあり、盛りだくさんで心温まる内容だった。

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 約75分間の会見の全体を通じて漂っていたのは、一編のスポーツ小説を読ませてもらうような爽やかさだ。その理由は、石川が冒頭の挨拶で語った「コートに立った時は、その日の全力プレーを自分なりにやる。100%の準備、100%の状態で、その日にできる自分のすべてを出す。それを大切にして頑張ってきました」という言葉と、言動を見事に一致させてきた“トップアスリート石川佳純”の生き方に集約される。

 目の前の試合に全力を傾けるという美学は、最後の最後まで貫かれていた。
 
「東京五輪が終わった時点で、それまでは『次のオリンピック』をすぐに口に出して目標にしてきましたが、東京五輪の後は目の前の一試合、一試合というところを目標にやってきました。ですから、自分自身もハッキリといつが終わりになるのか、正直分かりませんでした。そのなかで5月の世界選手権に出場できないことが決まって、自分としてもいいタイミングなのかなと思い、そこで現役引退を決意しました」

 そのタイミングとは、昨秋にあった選考会で、世界選手権個人戦(20日から南アフリカ・ダーバンで開催)の代表入りを逃した時のことを指す。

 石川はそこで引退を決意。そのうえで、具体的な時期の設定をいつにするかを熟考しながら決めていった。

“最後の試合”を4月の中国での国際大会にしようと決めたのは3月。家族のグループLINEにだけ、4月の大会を最後に引退することを伝え、中国へ向かった。
 
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