バレーボール

「イタリアで絶対的な存在感を確立した」元伊代表主将が石川祐希を絶賛!「勝敗の行方を握る」と熱いエールも【男子バレーVNL】

佳子S.バディアーリ

2023.06.05

元伊代表の主将ルッケッタ(右)氏はセリエAでプレーする日本代表の石川(左)に熱いメッセージを送った。写真:佳子S.バディアーリ、(C) Getty Images

 パリ五輪出場へ向けて、いよいよ始動するバレーボール男子日本代表。大舞台への切符獲得でカギを握るのは、なんと言っても主将・石川祐希だ。主戦場とするイタリアで今シーズンの戦いぶりを見続けてきた現地の人気ナンバー1解説者であり、元同国代表のアンドレア・ルッケッタ氏が、型破りな進化を遂げた背番号14について語ってくれた。

 対面でのインタビューは、ルッケッタ氏がイタリアバレーボール協会とともに30年近く力を注ぐ、子どもたちへの競技普及活動の最終日。日本では、愛知県名古屋市で開幕する国際バレーボール連盟主催の『ネーションズリーグ(VNL)』開幕へ向けて、男子代表の記者会見が行なわれた日だった。

 ペルージャのメイン広場で1500人の子どもたちに囲まれて午前の部を終えたばかりの同氏は、「やぁ、久しぶり!元気にしてたかい? ユウキのこと、何から話そうか?」と語りたいことがたくさんある様子。そして、まずは5月中旬に閉幕した2022-23シーズン・セリエAでの石川について、こう口火を切った。

「今シーズンのユウキは、とにかくセンセーショナルだった」

 所属するパワーバレー・ミラノの主軸として、コッパイタリア準決勝へ進出。決勝へあと一歩のところで、絶好調の日本人アウトサイドヒッターが負傷離脱すると、求心力を失ったチームは力なく敗れた。しかし、プレーオフで再び輝きを放つことになる。
 
 リーグ戦で無敗の首位ペルージャを準々決勝で退けて4強入りを果たし、準決勝では前年王者チヴィタノーヴァを相手に決勝進出へ王手。ミラノ旋風の中心にいたのは、またしても石川だった。リーグ史を塗り替えるレギュラーシーズン8位のファイナリスト誕生は、激闘の末、惜しくも叶わなかったが、『Ishikawa』の名前を載せた見出しとともに、全国紙を含む現地メディアから連日にわたり最大級の称賛を受けた。

「イタリアリーグを選んだユウキは正解だった。練習の質が高く、特に熾烈な戦いが繰り返されるリーグで研鑽を積むことが、選手として成熟していくために絶大な可能性を与えていると思う。今シーズン、ユウキはこれまで以上に重要な選手へとジャンプアップした。コッパイタリアの準決勝では、ユウキの負傷離脱でミラノがクオリティ低下に陥り、大きな困難に直面したことは周知の事実だ」

「それは、試合の流れに顕著に現れていた。イタリア初挑戦だったアウトサイドヒッターの2人、キューバ代表オスニエル・メルガレホとイラン代表ミラド・エバディプールだけでは、ユウキを欠いた穴を埋めるに十分ではなかった。頼りのオポジット、フランス代表ジャン・パトリーも停滞してしまい、残念な結果になってしまった」

「レセプションで、まれに安定を欠くなど守備にアップダウンが見られることがあったユウキだが、時速100キロを優に越えるサーブが当たり前になった現代バレーボールでは避けられないこと。シーズン全体を評価するにあたって取るに足らないことだ」

「ユウキにとって間違いなく最高に有意義なシーズンだったと思っている。なかでも、スクデット(リーグ優勝)を争うプレーオフでは、ミラノを率いて決勝進出まで数ポイントに迫り、歴史的な快進撃の立役者となって大きな爪痕を残したのだから」
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「ユウキはイタリアでプレーした日本人の頂点に立っている」