バレーボール

世界へ挑むべく女子バレー眞鍋監督が欲した頼りになる男、“団長”の仕事ぶりとは?「五輪に向けた戦いはコートの上だけではありません」

北野正樹

2023.06.13

日本女子代表の井上義浩団長。写真:北野正樹

 バレーボールの日本代表に、頼りになる男が戻って来た。

 女子代表のチームマネジャー(団長)、井上義浩さん(61)。強化に直接関わる立場ではない裏方だが、ナショナルチームの代表として海外で現地の協会と交渉をしてチームをよりよい環境で活動できるようにするなど、欠かせない存在で〝影の監督〟でもある。長年男子の強化に携わってきたが、女子代表に関わるのは初めて。「各国協会の要人と人間関係を作り、選手が海外で少しでも快適に過ごせるようにするのが仕事」と意気込んでいる。

【画像】ネーションズリーグ2023に挑む女子バレー日本代表
 今年5月8日、日本代表女子のチームマネジャーに就任した。国際バレーボール連盟(FIVB)のルールで設けられている役職で、チームには別にマネジャーがいるため、日本では「団長」と呼ばれることが多い。

 チームを代表して国際大会ごとの全体会議に出席し、開催国の協会と様々な交渉をするのが、表舞台での主な仕事だ。

 5日まで名古屋市で開催されていたネーションズリーグ(VNL)女子予選ラウンド第1週で、井上さんの姿が約1週間、日本女子チームから消えた。

「ブラジルチームの通訳をしていました。日本チームの練習に付き合い、ボール拾いなどを手伝うのもいいのですが、女子チームに関わるのは初めてなので、ブラジルの協会関係者らとの交流を優先しました」と井上さん。

 ブラジルとはファイナルラウンドまで対戦する予定はなく、練習試合を組んで互いに調整したことから、ブラジルチームのサポート役を買って出たという。大会第2週はブラジルでの開催になるため、新たな人間関係を作る絶好の機会と捉えたのだった。

日体大、豊田合成を経て朝日大学(岐阜県瑞穂市)で長年、男子バレー部監督を務め、早稲田大学大学院ではスポーツマネジメントなどを学んだ。

 日本代表の男子強化に携わったのは2000年ごろから。16年ぶりの五輪出場を果たした2008年北京五輪では、総務(マネジャー)として植田辰哉監督(現大商大教授)を支えた。
次代を担う選手の強化に携わることが多く、12年は第9回アジアユース選手権(イラン)で星城高校2年の石川祐希(パワーバレー・ミラノ)、東北高校2年の小野寺太志(サントリー)、13年の第17回世界ジュニア選手権(トルコ)では中央大2年の関田誠大(ジェイテクト)、筑波大1年の高橋健太郎(東レ)らを育てた。
 
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旧知の眞鍋監督の要請を受けて就任