格闘技・プロレス

変幻自在の締め・関節技で強豪を葬った柔術マジシャン・ノゲイラ。”柔術の強さ”を凝縮した2つの激闘【PRIDE名戦士列伝】

橋本宗洋

2023.06.30

劣勢のノゲイラ(左)だったが、得意のサブミッションでミルコ(右)からタップを奪い、奇跡の逆転勝利を掴んだ。写真:産経新聞社

 日本ではRIZIN、海外ではUFCやONEなど、 MMA(総合格闘技)が世界的な盛り上がりを見せている。このムーブメントの原点と言えるのが、90年代から00年代前半。PRIDEを中心に個性豊かな強豪たちが鎬を削った。そんなMMA第一次黄金時代の名選手たちを振り返ってみよう。

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 RIZINのライト級チャンピオン、ホベルト・サトシ・ソウザは『シン・柔術マジシャン』という異名でも知られている。なぜ『シン』なのかといえば、先代がいるからだ。

 初代・柔術マジシャンはアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ。ブラジルの柔術家で、PRIDEヘビー級タイトルを獲得している。当時の活躍に関しては、オールドファンには説明不要。しかし忘れてはならない、忘れられない歴史を記しておくことも重要だろう。
 
 初来日は1999年、リングスだった。KoKトーナメント準決勝では僅差の判定で敗れているが、相手はダン・ヘンダーソン。おそろしく個性的でハイレベルなメンバーが集まったトーナメントだった。

 第2回KoKトーナメントで優勝すると、2001年からPRIDEに参戦。PRIDEの門番と称されたゲーリー・グッドリッジ、PRIDE GP優勝者マーク・コールマンに連続一本勝ちを収め、ヒース・ヒーリングとの王座決定戦を制してヘビー級チャンピオンに。エメリヤーエンコ・ヒョードルに敗れるまでPRIDE、LEGEND東京ドーム大会、Dynamite!国立競技場大会で8連勝を記録している。
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変幻自在の柔術テクでタップを奪う姿はまさに「マジシャン」