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ラグビー

W杯本番を今秋に見据え強化試合がスタート! 2度出場の松島幸太朗は、“試された”フルバック起用で何を掴んだのか?【ラグビー】

向風見也

2023.07.10

フルバックで起用された松島。オールブラックスXV戦は収穫と課題のある試合となったようだ。(C) Getty Images

フルバックで起用された松島。オールブラックスXV戦は収穫と課題のある試合となったようだ。(C) Getty Images

 表情は変わらない。ただし不機嫌ではない。むしろ正直かつ簡潔に、思いを述べる。

 2023年7月8日、うだる暑さの東京・秩父宮ラグビー場。ラグビー日本代表の松島幸太朗が、「JAPAN XV」名義で今シーズン初の実戦に挑んだ。

 ニュージーランド代表入りを目指す選手からなるオールブラックス・フィフティーンとの一戦は、6-38で落とした。
 
 スタンド下の取材エリア。松島は「うーん…」と切り出し、淡々と振り返る。

「プレッシャーがかかった時に、あまりチームとしてのアタックが機能しなかったところもあった。高いレベルの相手との試合だと、ぽろぽろ(ボールを)落としてしまうとリズムに乗れないですし…。相手のミスを自分たちが処理できれば、今後はよくなっている」

 まさに、そういう流れが続いていた。

 2019年のワールドカップ日本大会で初めて8強入りしたチームはいま、同フランス大会を今秋に見据える。
    
 国内リーグワンを終えて約3週間後の6月12日から、浦安合宿を始めた。蓄積疲労がたまりそうな猛練習を重ね、今度のゲームを迎えていたのだ。

 何よりこの日は、メンバーの23名中5名が代表戦の未経験者だ。9月に開幕するフランス大会本番を見据えての試験的起用があった。

 これらの要素が終盤のタックルミス、試合を通しての逸機の遠因となったか。特に松島が言う通り、球を奪った直後などにエラーが重なった。

「自分たちのやろうとしていることはわかっているんですけど、それを(有機的に)繋げられないというのがあった」

 8点差を追う後半11分頃だ。

 相手が自陣22メートル線手前の左へ蹴ってきたキックを、松島が先回りして捕球。加速する。

 ハーフ線を越え、左へふくらみ、タックラーをかわして左へ繋ぐが、最後は受け手の仲間がタックルされながらパス。サポート役に渡らなかった。流れが止まった。

 過去ワールドカップに2度出場の30歳は、しみじみと繰り返す。

「(攻めを)継続できる展開を作っている。そういうところでラックを作って(タックラーに捕まってから着実に接点を形成して)我慢して…という、(これまで)練習してきたことをやれば、いい結果がついてくる」
 
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