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ラグビー

W杯本番を今秋に見据え強化試合がスタート! 2度出場の松島幸太朗は、“試された”フルバック起用で何を掴んだのか?【ラグビー】

向風見也

2023.07.10

今秋のフランス大会に向けて強化試合がスタート。松島はウイングとフルバック両方での起用をにらみつつ調整していく。(C) Getty Images

今秋のフランス大会に向けて強化試合がスタート。松島はウイングとフルバック両方での起用をにらみつつ調整していく。(C) Getty Images

 常連組の松島も、いわば試されていた。

 代表で務めることの多いウイングではなく、フルバックでプレーしていたのだ。

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる現代表では、グラウンド端側のウイングは空中戦での競り合い、持ち場でのラン、逆サイドへの攻撃参加を役目とする。

 かたや最後尾のフルバックは、高低を織り交ぜたキックの処理および蹴り返し、司令塔の補助役、突破役を担う。

 もともとフルバックが好きな松島は、代表で希望の位置を掴むべくリーグワンでも試行錯誤を重ねた。

 東京サントリーサンゴリアスのフルバックとして、陣地獲得時やプレー再開時のキック、ファーストレシーバー(接点から最初にパスをもらう選手)としての攻撃に積極的に取り組んだ。

 すると今回の代表合宿では、フルバックとして実戦練習ができた。渦中、ビジョンを明かした。

「いまのところはうまくやれている感じはある。それをプレッシャーのかかった試合で出せるかどうかは、自分次第。試合をイメージしながらやっていきたいです」

 この日は攻撃機会が限られたこともあり、司令塔的な役目を果たす機会はなかった。

 とはいえ、計3本のラインブレイクで存在感を示せた。蹴り合いでは遠くへ飛ばし過ぎるキックこそあったが、陣地合戦でそう後手は踏まなかった。

 時折、中央のスペースにキックを蹴り込まれることもあったものの、ここにも意図があった。
 
「『50・22』があったので、真ん中に蹴らせて自分たちで蹴り返す…と」

 敵陣から蹴られたボールがインフィールドでバウンドし、自陣22メートル線を通過してタッチラインの外へ出ると、その地点からの相手ボールラインアウトで試合が再開する。

 このピンチを避けるべく、松島はまずタッチライン際をケア。真ん中のエリアは意図的に開け、そこへキックされても確実に捕ればよしと見ていた。

 チームによってはフルバックのキック処理をウイングが助けるが、日本代表では防御システム上ウイングが前がかりになりがち。フルバックは、後ろへ回ってくるスタンドオフとともに広範囲をカバーせねばならない。今回の松島は、その現実を再確認した。

 翌週以降も国内戦がある。指揮官は展望する。

「(次戦からは)いままで準備ができていなかった(主力)選手も戻す予定」

 昨秋まで正フルバックの山中亮平が戻るなら、松島はウイングとフルバックを両にらみするよう求められる。敗因を分析するのと同じトーンで、「ポジションで役割がある、それを理解するところから、です」と静かに意気込んだ。

取材・文●向風見也
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