常連組の松島も、いわば試されていた。
代表で務めることの多いウイングではなく、フルバックでプレーしていたのだ。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる現代表では、グラウンド端側のウイングは空中戦での競り合い、持ち場でのラン、逆サイドへの攻撃参加を役目とする。
かたや最後尾のフルバックは、高低を織り交ぜたキックの処理および蹴り返し、司令塔の補助役、突破役を担う。
もともとフルバックが好きな松島は、代表で希望の位置を掴むべくリーグワンでも試行錯誤を重ねた。
東京サントリーサンゴリアスのフルバックとして、陣地獲得時やプレー再開時のキック、ファーストレシーバー(接点から最初にパスをもらう選手)としての攻撃に積極的に取り組んだ。
すると今回の代表合宿では、フルバックとして実戦練習ができた。渦中、ビジョンを明かした。
「いまのところはうまくやれている感じはある。それをプレッシャーのかかった試合で出せるかどうかは、自分次第。試合をイメージしながらやっていきたいです」
この日は攻撃機会が限られたこともあり、司令塔的な役目を果たす機会はなかった。
とはいえ、計3本のラインブレイクで存在感を示せた。蹴り合いでは遠くへ飛ばし過ぎるキックこそあったが、陣地合戦でそう後手は踏まなかった。
時折、中央のスペースにキックを蹴り込まれることもあったものの、ここにも意図があった。
「『50・22』があったので、真ん中に蹴らせて自分たちで蹴り返す…と」
敵陣から蹴られたボールがインフィールドでバウンドし、自陣22メートル線を通過してタッチラインの外へ出ると、その地点からの相手ボールラインアウトで試合が再開する。
このピンチを避けるべく、松島はまずタッチライン際をケア。真ん中のエリアは意図的に開け、そこへキックされても確実に捕ればよしと見ていた。
チームによってはフルバックのキック処理をウイングが助けるが、日本代表では防御システム上ウイングが前がかりになりがち。フルバックは、後ろへ回ってくるスタンドオフとともに広範囲をカバーせねばならない。今回の松島は、その現実を再確認した。
翌週以降も国内戦がある。指揮官は展望する。
「(次戦からは)いままで準備ができていなかった(主力)選手も戻す予定」
昨秋まで正フルバックの山中亮平が戻るなら、松島はウイングとフルバックを両にらみするよう求められる。敗因を分析するのと同じトーンで、「ポジションで役割がある、それを理解するところから、です」と静かに意気込んだ。
取材・文●向風見也
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代表で務めることの多いウイングではなく、フルバックでプレーしていたのだ。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる現代表では、グラウンド端側のウイングは空中戦での競り合い、持ち場でのラン、逆サイドへの攻撃参加を役目とする。
かたや最後尾のフルバックは、高低を織り交ぜたキックの処理および蹴り返し、司令塔の補助役、突破役を担う。
もともとフルバックが好きな松島は、代表で希望の位置を掴むべくリーグワンでも試行錯誤を重ねた。
東京サントリーサンゴリアスのフルバックとして、陣地獲得時やプレー再開時のキック、ファーストレシーバー(接点から最初にパスをもらう選手)としての攻撃に積極的に取り組んだ。
すると今回の代表合宿では、フルバックとして実戦練習ができた。渦中、ビジョンを明かした。
「いまのところはうまくやれている感じはある。それをプレッシャーのかかった試合で出せるかどうかは、自分次第。試合をイメージしながらやっていきたいです」
この日は攻撃機会が限られたこともあり、司令塔的な役目を果たす機会はなかった。
とはいえ、計3本のラインブレイクで存在感を示せた。蹴り合いでは遠くへ飛ばし過ぎるキックこそあったが、陣地合戦でそう後手は踏まなかった。
時折、中央のスペースにキックを蹴り込まれることもあったものの、ここにも意図があった。
「『50・22』があったので、真ん中に蹴らせて自分たちで蹴り返す…と」
敵陣から蹴られたボールがインフィールドでバウンドし、自陣22メートル線を通過してタッチラインの外へ出ると、その地点からの相手ボールラインアウトで試合が再開する。
このピンチを避けるべく、松島はまずタッチライン際をケア。真ん中のエリアは意図的に開け、そこへキックされても確実に捕ればよしと見ていた。
チームによってはフルバックのキック処理をウイングが助けるが、日本代表では防御システム上ウイングが前がかりになりがち。フルバックは、後ろへ回ってくるスタンドオフとともに広範囲をカバーせねばならない。今回の松島は、その現実を再確認した。
翌週以降も国内戦がある。指揮官は展望する。
「(次戦からは)いままで準備ができていなかった(主力)選手も戻す予定」
昨秋まで正フルバックの山中亮平が戻るなら、松島はウイングとフルバックを両にらみするよう求められる。敗因を分析するのと同じトーンで、「ポジションで役割がある、それを理解するところから、です」と静かに意気込んだ。
取材・文●向風見也
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