スクーデリア・アルファタウリが７月11日、ニック・デ・フリースに代えてダニエル・リカルドを新たなドライバーとして起用すると発表したことは、F１界では大きな話題となっている。

　わずか10レースを終えたところでルーキーからシートを剥奪したことについては、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問が明かした「スピードが足りなかった」「改善が見られなかった」という理由に同調する者もいれば、「判断が早すぎる」「今季はチャンスを与えるべきだった」と批判する声も各方面から多々寄せられた。また、アルファタウリの公式SNSでは、リカルドを歓迎する投稿だけで、デ・フリースに対しては労いの言葉など何の言及もないことに「あまりに敬意を欠いている」との指摘もなされている。

【画像】各チームニューマシンを発表！2023年シーズンを戦うＦ１全チームの新車を一挙紹介！ 　とはいえ、すでにイタリア・ファエンツァのチームは新たな体制でスタートを切っており、10年ぶりに古巣（当時の名称はトロロッソ）復帰を果たした、通算８勝を誇る34歳のオーストラリア人ドライバーが、非力とされる「AT04」を駆っていかなるパフォーマンスを発揮するかは、非常に興味深いものである。

　アルファタウリでは、今季は角田裕毅がこれまで課題とされていた一貫性を身につけ、粘り強く安定したドライビングでチャンスを活かして２度のレース（オーストラリア、アゼルバイジャン）で10位入賞を飾り、その他にもポイント圏内まで僅差という結果を残して高い評価を受けてきたが、この新進気鋭の22歳と、実績と経験豊富な34歳のチーム対決がどうなるかも気になるところだ。

　これについて、『FOX SPORTS』のオーストラリア版は、リカルドが今回のチャンスを利用し、最終的にはセルジオ・ペレスからレッドブルのシートを奪取することを目標にしていると指摘した上で、「そのためには、オーストラリア人ドライバーはシーズン終了まで、チームメイトの日本人ドライバーを常に破り続ける必要がある」と課題を挙げている。

　同メディアは「今季残りの12レースにおいて、少しでも彼に困難の兆しがあれば、再開したばかりのF１キャリアは破滅し、すぐに終わりを告げる可能性がある」と綴り、同メディアのポッドキャスト『Pit Talk』の司会者であるマイケル・コック氏の「もし、ダニエルが角田に勝てなければ、残念なことだが、誰も彼のことを欲しがらないだろう」との言葉を紹介した。