ラグビー

「イングランド代表も驚いたのではないか」指揮官、選手らが掴んだ確かな自信。グループ突破へ「手応えはめちゃくちゃあります」【ラグビーW杯】

向風見也

2023.09.18

敵陣へ切り込む松島。イングランドを相手にトライは奪えなかったが、持ち前の走力を随所に見せた。(C) Getty Images

 現地時間9月17日夜、スタッド・ド・ニースには3万人超のファンが集まった。

 イングランド代表のファンが「スィングロウ」と呼ばれる応援歌を熱唱すれば、日本代表を支える「ニッポン!」コールが跳ね返ってくる。ハーフタイムには日の丸の鉢巻きをつけた上半身裸の外国人風の男性がグラウンドに乱入し、それもそれでスタンドの拍手を招いた。

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 ラグビーワールドカップフランス大会の予選プールDの一戦があった。前回の自国開催大会で初めて8強入りした日本代表は、その大会で準優勝したイングランド代表と対峙。それは、昨秋の対戦時に13―52で屈した時とは、異なる展開を繰り広げた。

 スクラムでは大型選手の圧に屈せず、押し込むシーンも披露した。大型選手たちに小兵のまとまりで対抗する低いパックを、めくれやすい芝の上でも堂々と表現したのだ。

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは称えた。

「イングランド代表も驚いたのではないか。前回対戦時と比べ、いまはスクラムが強いという印象を与えた」

 コンタクトでも伍した。出場停止から復帰のピーター・ラブスカフニ、主将経験者のリーチ マイケルの両フランカーは、全選手のなかで1、2位のタックル成功回数を記録(それぞれ19、18本)。それを3位(16本)で追うナンバーエイトの姫野和樹主将は、自陣ゴール前でのジャッカルでも魅した。

 チームは昨年の大敗以来、フィジカリティの強化を最優先課題とした。6月中旬からの浦安合宿では、オーストラリア出身のジョー・ドネヒューのもと約1時間ぶっ通しの格闘技風タックルセッションを敢行。今回は、鍛錬の成果を示した格好だ。

 ウイングの松島幸太朗は、今回の強度を最低ラインに据えたいとした。

「大一番、というところがある(影響した)と思う。それを今日だけではなく、全試合できるかというのは、これから成長できるところ。きょうみたいな強度でやれば、相手も嫌がる」

 戦前から懸念された空中戦では、前半こそ後手に回るも時間を重ねるごとに形勢を逆転させた。相手が執拗に蹴ってきた高い弾道のキックに対し、捕球する選手を周りがガードする動きを徹底したためだ。

 知恵も振り絞った。夏の試合でラン、パスを多用していた日本代表は、今回、防御ラインの裏へのキックを多用。イングランド代表が防御ラインと後衛との間に隙を作りやすいと見ての判断だ。
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