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ラグビー

成功率94%のキックだけじゃない! アルゼンチン戦のキーマン松田力也は司令塔としていかなるゲームプランを描いているのか?【ラグビーW杯】

THE DIGEST編集部

2023.10.08

キック前のお馴染みのルーティン。しかし松田の強みはキックだけではない。(C) Getty Images

キック前のお馴染みのルーティン。しかし松田の強みはキックだけではない。(C) Getty Images

 数字で証明する。

 ラグビー日本代表でスタンドオフを務める松田力也は、9月からのワールドカップフランス大会でゴールキック成功率を94パーセントとする。

 スコアに直結するコンバージョン、ペナルティーゴールを淡々と決めるさまは、傍目にもわかりやすいだけに注目の的となる。大会直前のフォーム改造が奏功したことは、本人の解説とともに各種メディアで紹介された。

【ラグビーW杯PHOTO】フランス大会に挑む日本代表メンバー
 身体の力を正確に球に伝えるには、蹴り足と同じ右側の肩を「落とさない」のが肝のよう。理想の形を作るべく、助走段階から肘を曲げたままアプローチに入る。

「それをすれば、絶対にキックが決まると思っている。プレッシャーがかかるなか自分のルーティーン、キックを信じて蹴るだけです」

 もっとも本人は、わかっているはずだ。スタンドオフという司令塔役の本領は、ゴールキック以外のところにあると。

 2015年のイングランド大会時のゴールキッカーとして脚光を浴びた五郎丸歩さんは、最後尾のフルバックである。つまりゴールキックは、チームでもっとも得意な人が蹴るのが相場。それがいまの日本代表では、スタンドオフの松田だったわけだ。

 言い換えれば、松田が正スタンドオフに選ばれる理由は、ゴールキック以外のところにもある。

 元日本代表の後藤翔太さんの言葉を借りれば、スタンドオフの仕事は「チームを山の何合目から登るかを決めること」。技術、判断を用いて味方を前に進め、相手の得点機を減らして味方の得点機を増やせるようにするのが役目だ。

 そして、松田が現場でもっとも評価されるのは、かような数字に表れぬ作業なのだ。

 うならせる技術は、大会2勝目を挙げるサモア代表戦で見られた。

 現地時間9月28日、スタジアム・ド・トゥールーズ。

 10-3と7点リードの前半30分、日本代表は、自陣10メートルエリア左のスクラムからおとりの動きを絡め左側へ展開した。

 その折、松田はまさにお手本と言えるキャッチとパスを繰り出した。
 
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