大エース石原翔太郎(4年)、主将の越陽汰(3年)がエントリーから外れ、『第100回箱根駅伝予選会』の通過が危ぶまれていた東海大は、10時間37分58秒の10位で突破を果たした。
両角速監督は大きな賭けに出ていた。上級生4人、8人の下級生を大事な予選会に送り込んでいたのだ。レース後、同氏は「そもそも留学生がいない、主力を欠いている。そして、どちらかというと5000m、10000mが得意でハーフが苦手というチーム状況で、どうやって13番以内に滑り込ませるか」と熟考したことを明かす。
「今日のコンディション、過去のデータから何度もビデオを見て、学生とも一緒にそれを観て、こういう戦略でいこうと納得しながらやった」という秘策は、「10キロまでオーバーペースを避ける」という、前半抑えるというものだ。
当初からフリーで行くことを予定していた鈴木天智(2年)以外は、この設定を守り、30分17~32で10キロを通過。これには「最初の10キロを我慢できたっていうのは大きな収穫でしたね」と選手を褒め称えた。
10キロの通過順位は23位と出場権獲得ラインを大きく下回っていた。だが両角監督にとっては、織り込み済みだったようで「かなり通過順位的は後ろのほうに行ってしまう。でも絶対そこで焦るなと。で、公園に入る14キロからですね。そこで自分と対話して余力がある者、まあまあの者それぞれだと思うので、いくつかの段階に応じて、選択肢を持たせて走らせました」と語った。
そんな両角氏は「学生を信じていましたので、それほど焦りはなかったです」とレースを冷静に見守っていた。石原にとっては「歯がゆかったとは思う」と慮った指揮官は、来月5日に行なわれる「全日本(大学駅伝)で使う予定です」と復帰を宣言した。
取材・文●永野祐吏(THE DIGEST編集部)
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