いとも簡単に三冠をやってのけた女王に熱い視線が注がれている。

　10月15日、京都競馬場で行なわれた３歳牝馬のクラシック最終戦「秋華賞」。３年ぶりに開催された淀の舞台で単勝１番人気のリバティアイランド（栗東・中内田充正厩舎）が２分１秒１のタイムで優勝。桜花賞、オークスに続くタイトル制覇で、史上７頭目の牝馬三冠となった。

　2020年デアリングタクト以来の偉業はなるのか。快晴の秋晴れとなった京都競馬場に大観衆が詰めかけ、その瞬間を見守った。

　単勝1.1倍の圧倒的人気に推されたリバティアイランドはスタート直後から集団の中ほどにつけ、4コーナー過ぎに一気にペースを上げて先頭を捉えると、最後の直線でギアをもう一段階上げて、後続を突き放した。

　後方から３番人気のマスクトディーヴァ（栗東・辻野泰之厩舎）が猛烈な末脚で迫ってきたが、時すでに遅し。最後は余力を残すかのように１馬身差をつけて、リバティアイランドが牝馬クラシックを独占した。

　デビュー戦からすべて手綱を取り続けている川田将雅騎手は優勝インタビューで、「心から感動している。無事に自分の能力さえ発揮すれば圧倒的なパフォーマンスを発揮できる馬。歴史にも名を残すことができたので背負うものが大きくなったが、ふさわしい馬だと思う」とパートナーを称えた。さらに、この日は同騎手の38歳の誕生日。女王は最高のプレゼントで、鞍上に花をもたせた。

　リバティアイランドの快勝劇は海外メディアも報じている。1916年創刊の米競馬情報誌『Blood Horse』が「なんて強さだ！リバティアイランドが日本の秋華賞（GⅠ）を快勝し、アーモンドアイ、ジェンティルドンナ、デアリングタクトといった日本の名牝の仲間入りを果たした」と報じている。

　記事内では「直線に入ると、リバティアイランドは大きなアドバンテージを築き、終盤の上り坂を一気に駆け抜けた。唯一の脅威だったのは、ルーラーシップの娘であるマスクトディーヴァの遅ればせながら見事な末脚だった」と記し、「彼女のレギュラー騎手、ユウガ・カワダにとっては簡単なことだった」と着差以上の圧勝劇だったと振り返っている。
  　同誌よりも古い歴史を誇る、もうひとつの北米メディアも日本の３歳牝馬の偉業に興味を注いでいる。1894年創刊の競馬新聞『Daily Racing Form』は「リバティアイランドが４連勝で日本の３歳牝馬三冠を制覇した」と伝え、「彼女の父は2015年に皐月賞と日本ダービーを制したドゥラメンテ」と良血である点を強調。

　加えて、「６戦５勝のリバティアイランドは、メジロラモーヌ（1986年）、スティルインラブ（2003年）、アパパネ（2010年）、ジェンティルドンナ（2012年）、アーモンドアイ（2018年）、デアリングタクト（2020年）と並ぶ牝馬三冠馬だ」と歴代の女王らを列挙。「歴史に名を残した」と称えている。

　オークス制覇後、ひと夏を越えて心身ともにたくましさを増したリバティアイランド。今後は牡馬との戦いも期待されるなか、どこまで成長曲線を描くのか。名牝の動向から、目が離せない。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】異次元の走り！圧倒的な強さで「牝馬三冠」を達成したリバティアイランドの秋華賞

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