ストイックなランナーが見せた何気ない立ち振る舞いの『真相』が明らかになった。
10月15日、上位2名がパリ五輪に即内定する日本代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」が東京・国立競技場発着のコースで行なわれた。東京五輪6位入賞の大迫傑(Nike)は2時間9分11秒で3位となり、2位とわずか5秒差の僅差で五輪代表権を掴み切れず悔しい結果に終わった。
レース後は「前回同様、最後はタフなレース。純粋に夢中になって走るのを心掛けたけど、一歩及ばなかった」と振り返り唇を噛んだが、「最低限の結果を残せたのは良かった」とも語り、猛烈なラストスパートを仕掛けられた場面には手応えを掴んでいた。
これでパリ五輪代表の残る1枠は、12月から始まるMGCファイナルチャレンジで決まる。設定タイム(男子は2時間5分50秒)を突破した記録最上位選手が代表に決まるが、突破者が出なければMGC3位の選手、つまり大迫がパリへの切符を得ることになる。
2大会連続で大迫が代表入りとなるのか。こちらにも注目が集まるが、今回の代表選考会で彼がレース後に見せた行動が大きな脚光を浴びている。
それは代表切符を逃した、ゴール直後のシーンだ。大迫はすぐに引き揚げず、トラック内でしばらく立ち止まっていた。朝から降りしきるどしゃぶりの雨が体を叩きつけ、心配した大会運営スタッフが退場を促しても、32歳のオリンピアンはその場にとどまる。まるで誰かを待ち続けるかのように。
そして大迫がゴールしてから7分40秒後、同じ早稲田大学競走部出身で2年後輩のランナー・高田康暉が44位(2時間16分51秒)でフィニッシュすると、大迫は彼の背中にタオルをかけて労いの言葉をかけ、一緒にトラックを去った。
お互いの健闘を称え合う姿は多くの陸上ファンの共感を呼んだ。ゆえに、ずぶ濡れで後輩を待ち続ける大迫のたたずまいは、SNS上で拡散され多くの称賛が沸き起こった。そして熾烈な代表選考会を終えた2日後、大迫は自身の公式X(旧ツイッター)で後輩を待った行動について、その真意を明かした。
「この大会が集大成と話してて、もしかしたらこれで引退しちゃうんじゃないかと思って、もしそうだとしたらその場に居たかった」
一方の高田はMGCのレース後、自身のインスタグラムを更新。「ゴールして尊敬している先輩がずっと待ってくださってて悔しいはずなのにとても嬉しかった。最高の42.195kでした」と先輩へ感謝のメッセージを綴っている。
9年前の第90回箱根駅伝では、1区を走った大迫から「花の2区」とも言われるエース区間を担う高田へ襷をつなぎ、母校の総合4位に貢献した。卒業してもなお、固い絆を示した二人の関係性は代表争い以上の価値あるシーンとして、大会の歴史に刻まれたことだろう。
構成●THE DIGEST編集部
【画像】雨のなか、”後輩”高田康暉を労う大迫傑
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レース後は「前回同様、最後はタフなレース。純粋に夢中になって走るのを心掛けたけど、一歩及ばなかった」と振り返り唇を噛んだが、「最低限の結果を残せたのは良かった」とも語り、猛烈なラストスパートを仕掛けられた場面には手応えを掴んでいた。
これでパリ五輪代表の残る1枠は、12月から始まるMGCファイナルチャレンジで決まる。設定タイム(男子は2時間5分50秒)を突破した記録最上位選手が代表に決まるが、突破者が出なければMGC3位の選手、つまり大迫がパリへの切符を得ることになる。
2大会連続で大迫が代表入りとなるのか。こちらにも注目が集まるが、今回の代表選考会で彼がレース後に見せた行動が大きな脚光を浴びている。
それは代表切符を逃した、ゴール直後のシーンだ。大迫はすぐに引き揚げず、トラック内でしばらく立ち止まっていた。朝から降りしきるどしゃぶりの雨が体を叩きつけ、心配した大会運営スタッフが退場を促しても、32歳のオリンピアンはその場にとどまる。まるで誰かを待ち続けるかのように。
そして大迫がゴールしてから7分40秒後、同じ早稲田大学競走部出身で2年後輩のランナー・高田康暉が44位(2時間16分51秒)でフィニッシュすると、大迫は彼の背中にタオルをかけて労いの言葉をかけ、一緒にトラックを去った。
お互いの健闘を称え合う姿は多くの陸上ファンの共感を呼んだ。ゆえに、ずぶ濡れで後輩を待ち続ける大迫のたたずまいは、SNS上で拡散され多くの称賛が沸き起こった。そして熾烈な代表選考会を終えた2日後、大迫は自身の公式X(旧ツイッター)で後輩を待った行動について、その真意を明かした。
「この大会が集大成と話してて、もしかしたらこれで引退しちゃうんじゃないかと思って、もしそうだとしたらその場に居たかった」
一方の高田はMGCのレース後、自身のインスタグラムを更新。「ゴールして尊敬している先輩がずっと待ってくださってて悔しいはずなのにとても嬉しかった。最高の42.195kでした」と先輩へ感謝のメッセージを綴っている。
9年前の第90回箱根駅伝では、1区を走った大迫から「花の2区」とも言われるエース区間を担う高田へ襷をつなぎ、母校の総合4位に貢献した。卒業してもなお、固い絆を示した二人の関係性は代表争い以上の価値あるシーンとして、大会の歴史に刻まれたことだろう。
構成●THE DIGEST編集部
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