死闘を終えた直後の父娘の何気ないワンシーンが話題となっている。

　現地10月21日、フランス・パリのスタッド・ド・フランスで「ラグビーワールドカップ（W杯）2023」の準決勝が行なわれ、南アフリカ代表がイングランド代表を16-15で撃破し、２大会連続で決勝進出を果たした。

　前半は雨を味方につけたイングランドが有利にペースを進め、６点リードで折り返した。後半も一進一退の攻防が続いていたが、南アフリカが選手交代などで主導権を握るとスクラムで押し勝つようになり、試合の流れを引き寄せる。

　すると、後半28分には南アフリカが１トライ１ゴールで２点差にまで追い上げる。そして、ラスト３分でペナルティゴールが決まり、ついに逆転に成功。最後はイングランドの猛攻を必死に防ぎ切り、残り１枚のファイナルはスプリングボクス（南アフリカ代表の愛称）が得た。

　まさに死闘という言葉が相応しい激闘だった。試合後、終盤までリードしていたイングランドの選手たちは呆然とした表情で肩を落とし、土壇場で逆転した南アフリカの選手たちは歓喜に湧いた。

　決勝進出の喜びを分かち合った南アフリカ代表の主将シヤ・コリシは試合後、「今日の試合はあまり良くなかった。でも、それがチャンピオンというものだ。これまでのハードワークが報われた」と紙一重の勝利に安堵。途中出場した選手が試合の流れを変え、反撃の糸口を掴んだことを強調しながら「チームメイトを誇りに思うよ」と胸を張った。
  　そして会場で声援を送った母国のサポーターに感謝を示すと、偉大な主将がスタンドで見せた振る舞いが小さくない話題を呼んだ。

　強敵との激闘後、コリシはスタンドで応援していた娘を見つけると抱きかかえ、母国の勝利に涙を流す娘の頭を優しくなでた。ピッチで示した屈強なラガーマンから父親の表情に変わった瞬間を大会公式『Rugby World Cup』のX（旧ツイッター）は見逃しておらず、コリシ親子の光景を激写。SNSに投稿すると「このような貴重な瞬間があるからこそ」という文面を添えて、「シヤ・コリシと娘の美しい瞬間だ」と付け加えた。

　この投稿を見た世界中のラグビーファンから「微笑ましい」と喝采が飛び交っている。ほかにも、「偉大なキャプテン！」「なんて尊い写真なの」「パパは強い！」「父娘の愛情ほど勝るものはない」などコメント欄は活況を呈している。

　前回の日本大会では、代表チーム初となる黒人主将として４つの異なる言語を母語とする選手が集まったチームを見事にまとめ上げ、W杯制覇に導いたコリシ。連覇に王手をかけたスプリングボクスは現地28日、互いに史上最多４度目の世界一を目指してラグビー王国ニュージーランドと激突する。

構成●THE DIGEST編集部

【画像】「美しい瞬間」感涙する幼い娘と南アフリカ主将の２S

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