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格闘技・プロレス

なぜ井上尚弥はフルトン戦で明言しなかった『KO決着』を宣言したのか? 「タパレスのスタイルを見る限り…」垣間見せた”戦略家”としての一面

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2023.10.26

井上はタパレスとの4団体統一戦を発表。相手を警戒するも、自信のコメントを残している。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

井上はタパレスとの4団体統一戦を発表。相手を警戒するも、自信のコメントを残している。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 世界が注目するビッグマッチが、ついに実現した。

 10月25日、ボクシングのWBC・WBO世界スーパー・バンタム級王者の井上尚弥(大橋)が神奈川県・横浜市内で記者会見を開き、WBA・IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)との4団体統一王座戦を行なうと正式発表した。世紀の一戦は、前回に引き続きドコモの映像配信サービス「Lemino(レミノ)」で独占無料生配信される。
【PHOTO】ビッグマッチへ気合十分!マーロン・タパレスとの4団体統一戦実施発表会見に臨んだ井上尚弥!

 スーパー・バンタム級の初陣でいきなり2団体統一王者に輝いた井上。次なるターゲットは、史上2人目となる2階級での4団体統一王座だ。

 30歳の日本人ボクサーは「7月25日に僕が勝利した瞬間。あの試合に勝ったいっときの安心感とタパレスがリングに上がって来て次戦が約束された瞬間というのは、自分のなかでは気の抜けない感覚だった」と回顧。「今はメキシコのパートナーとスパーリングを実施していいモチベーションと、いいトレーニング内容を積めている。残り2か月は集中力を増し、完璧な状態で仕上げていきたい」と意気込んだ。

 タイトルマッチ決定後、井上は対戦するタパレスの試合映像をあらためて見返して「印象がずいぶん変わった」と明かし、「体の柔らかさ、ディフェンスの良さ、思ってた以上に技術の高い選手」と評した。

 具体的なタパレス対策を問われると、「これは毎試合のテーマですが『何もさせずに、打って打たせない』を取り組んでいるので、自然にそんな流れになると思います」と持論を述べながら、「(パンチの)パワーはあるけど、それ以上にディフェンス技術は磨いている。致命的なパンチさえもらわなければ問題ない」と断言。頼もしいコメントで言い切った。
 
 会見では「圧倒的な強さを見せて勝ちたい。KO決着をお見せしたい」と前回のフルトン戦では宣言しなかった『KO勝ち』という強気のワードを発した。その理由は、相手をしっかり研究したからこそ導き出した戦略家の一面を垣間見せる。

「タパレスのスタイルを見る限り、そういう決着になるという予想です。フルトン戦の前にそういう発言をしなかったのは、フルトンのスタイルだから。初めてのスーパー・バンタムでの戦いもあり、判定で勝つという気持ちでいました」

「強さで言えばタパレスの方が強いです。ハングリー精神も。フルトンはうまさで勝って、結果を残してきた選手。そこが違うと思っている」
 
 今回対峙するタパレスには「危機感がある」と語り、より警戒感を強めている井上。だからこそ、モチベーションや練習に向かう気持ちは1年前とは比べものにならないほど高いという。

 2団体王者は「この試合で4団体統一をして、しばらくスーパー・バンタム級で戦いたいという自分の中での考えもあるので。他の強敵、選手に向けてしっかりとアピールはしていきたい」と言葉に力を込めた。

 12月26日、ボクシング界に刻まれるモンスター伝説の新たな金字塔に期待せずにはいられない。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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