ラグビー

「皆、気づいてるんじゃないですか」37歳、堀江翔太がW杯で実感した日本ラグビーの現在地。敗因は組織力ではなく――

向風見也

2023.12.02

W杯では惜しくも8強入りを逃した日本。堀江が語った敗因とは? (C) Getty Images

 チーム力は、間違いなくあった。ラグビー日本代表の堀江翔太は、そう実感する。

 今秋のワールドカップ・フランス大会へは、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制で参戦。初めて8強入りした2019年の日本大会から継続していたとあり、首脳陣の定めたプランはすぐに選手に落とし込まれたようだ。

【ラグビーW杯PHOTO】フランス大会に挑んだ日本代表メンバー
 イングランド代表戦では、それまで長らくしていなかった防御の裏へキックし続ける戦法を実現。試合中盤まで接戦を演じた。

 決勝トーナメント行きを争うアルゼンチン代表戦でも、混とん状態でスペースへ球を運ぶ流れが滑らかだった。

「チームで『こうしよう』と言った戦術、戦略ができる、それで(強豪国)渡り合える…というのは、見ての通り」

 しかし、そのふたつの大一番を落とした。

 それぞれ12―34、27―39だった。要所での落球で好機を逃したり、得点した直後にタックルミスを犯したりするうち、やや点差をつけられた。

「最後、ちょっとしたミスで大きく勝敗が分かれる。なんとなく、僕の肌感覚ではそうだったんです」

 通算4度目の出場となる今回のワールドカップで決勝トーナメント進出を逃し、堀江は実感した。

 敗因は組織力ではない。

「個人、個人のフィジカルは常に上げていかないとだめですね。他の国も常にフィジカルを上げているので、そこにどうついていくかが大事。それと個人のプレーの質、精度も上げないと、いくらチーム力が上がっても(強豪国には)追いつかない」

 フランス滞在中も、元代表主将のリーチ マイケルとこの手の雑談をかわしていたという。その思いを後輩たちに伝えたかと聞かれれば…。

「皆、気づいてるんじゃないですか」

 日本大会までの2大会で計7勝。当時は積み上げていた猛練習および国際経験を通し、組織力と個々の逞しさをシンクロさせることができた。しかし2020年以降は、「個人」の力をつける機会が限定的だった。

 代表戦の数が以前より減ったり、日本代表の兄弟チームであるサンウルブズが参加していた国際リーグのスーパーラグビーから撤退したりしたためだ。特にサンウルブズの件には、同クラブ初代主将でもある堀江はこう応じる。

「あれは、いい経験を積むには最高の場所やったと思う。そういうのがあればいいんですけど」
 
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「個人的には(海外に)行った方がいいとは思います」