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格闘技・プロレス

勝って当然、問われるのは勝ち方――タパレスの執念も捻じ伏せた井上尚弥に“年間MVP”の声が上がるのも納得だ!

THE DIGEST編集部

2023.12.27

2階級4団体統一の偉業を成し遂げた井上。今後しばらくはスーパー・バンタム級で活動する意向を示した。写真:福冨倖希

2階級4団体統一の偉業を成し遂げた井上。今後しばらくはスーパー・バンタム級で活動する意向を示した。写真:福冨倖希

 結果は予想通りだった。だが内容は予想以上、期待以上だった。

 12月26日、ボクシングWBC&WBOスーパー・バンタム級世界王者の井上尚弥は、同級のWBA&IBF王者であるマーロン・タパレスと対戦。10ラウンドKOで勝利し、主要4団体王座統一を果たした。

【画像】井上尚弥がKO勝利!史上2人目となる2階級での4団体統一王者に輝く!
 バンタム級に続いて2階級での4団体統一は史上2人目。アジア人ボクサーとしては初となる。まさに偉業だ。しかもバンタム級での4試合、スーパー・バンタム級での2試合すべてKO勝利である。パウンド・フォー・パウンド返り咲き、年間MVPという声が出るのも納得だ。

 階級を上げれば相手が大きくなる。頑丈にもなる。それでも井上が強いのは、スーパー・バンタム級初戦となる前回の試合で証明済み。今回の試合は誰もが井上を“格上”だと認める試合だ。勝って当然、問われるのは勝ち方と言えた。

 勝ち方にこだわる気持ちは井上自身にもあった。同時に「楽勝ムード」が一番の敵だと認識してもいた。前戦で闘ったスティーブン・フルトンよりも「タパレスのほうが怖さがある」とも。タパレスはフックが強烈で、カウンターもある。

 それでも4ラウンド、左フックからの連打でダウンを奪ったのは井上だ。ヒザをついて倒れたタパレスだが、立ち上がると5ラウンド以降、少しずつ盛り返す。重心を後ろに置くディフェンシブな戦略だったが、だからこそ井上にはやりにくい。といって“守り一辺倒”でもない。あくまで“隙あらば”という姿勢だった。

 試合は長引く。7ラウンド、8ラウンドはタパレスにつけたジャッジも。井上は「判定も頭によぎりました」と言う。

 ただ、タパレスが攻めれば井上にもチャンスは生まれる。タフなフィリピン人ボクサーのパンチを見切りながらの攻撃。やはり右が強烈だ。タパレスはサウスポー。ボディにせよ顔面にせよ、井上の右が正面から入る角度になる。ボディは何度もヒット。右ストレートを3連打する場面もあった。
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