真剣勝負の銀盤で「禁止」にされているバク宙が、大きな反響を呼んでいる。

　フィギュアスケートの欧州ナンバー１を決めるヨーロッパ選手権の男子フリーが現地１月12日に行なわれ、今シーズン急成長を遂げているフランスのアダム・シャオ イム ファが大会２連覇を飾った。

　ショート首位で折り返したフランスの新鋭はフリーでも圧巻の演技を見せた。４回転ジャンプ３種類４本を組み込んだ高難度構成で臨んだ22歳は２つ目に予定してたトウループは転倒したものの、冒頭のルッツ、サルコウの着氷を耐えると、後半の４回転＋３回転の連続トウループは力強く降りた。

　さらに曲が大きく盛り上がる中盤からは、アクロバティックな動きを入れて観衆を沸かすと、なんと後ろ向きからクルッと宙返りする『バックフリップ』を披露。競技中では危険な動きとして「禁止」だとされている動きを組み込み『マイナス２点』のペナルティとなるも、会場は「ワァーオ！」と大声援。拍手が鳴り止まなかった。

　フィニッシュ後はすべての力を出し尽くし、満足な表情を浮かべたシャオ イム ファに観客はスタンディングオベーション。トリコロールの国旗が多く揺れ、現地の実況は「なんてこった！」と驚愕。他を圧倒する演技に「スーパー・ヒューマン！　アメージング！」などと称えていた。
  　得点は182.04点でバックフリップの減点があったとはいえ、２位に約12点差をつける異次元の点数を叩き出し、ショートとの合計276.17点で見事優勝を収めた。

　海外のフィギュアスケート専門メディア『Golden Skate』は表彰式後、22歳のチャンピオンを直撃。「会場に着いたときは、とても調子が良くて、ウォームアップの時に氷上に戻った時は少し不安定さを感じたけど、自分に自信を持ってプログラムの最後まで戦い抜きました」と振り返った。

　続けて、「今夜のカウナス（リトアニア）でのスケートは本当に楽しかったし、（演技は）完璧ではなかったけれど、楽しめた。本当に楽しかった」と満面の笑みを浮かべた。