12月22日、東京で開催されたフィギュアスケートの全日本選手権、男子フリーの演技が行なわれた。
フリーで優勝争いを繰り広げたのは、平昌冬季五輪のメダリスト同士でもある羽生結弦と、宇野昌磨だ。ショートプログラム(SP)を終えた時点では1位羽生、2位に宇野だったが、シーズンベストを出した宇野は、290・57点で羽生(282・77点)を逆転。同大会4連覇を達成した。
4年ぶりにこの大会に参加した羽生は、フリーのパフォーマンスでジャンプなどのミスを繰り返し、得意のトリプルアクセルでは転倒。さすがに終了後は呆然とした様子で、「疲れました。身体と心がバラバラで、自分がコントロールできなかった」と語るのが精いっぱいだった。
しかし、来年2月に開催される四大陸選手権、3月に世界選手権に日本代表として参加することが発表された記者会見では、胸の内に静かな炎を燃やしていることが分かった。
「僕にとって四大陸はひとつの壁。今回は、希望を出しました。試合を経て、いろいろ経験して、いろいろ吸収しながら強くなって、成長していけたらと思う。もしかしたらそこでネイサン(・チェン)と当たるかもしれないし、まずはこの大会で負けてしまった昌磨という壁もある。思い切りぶつかりたい」
さらに、世界選手権の直前に行なわれる四大陸選手権の意義を、「新しい技を習得するステップにしたい」とも語った。新しい技の名前を口にすることはなかったが、何を指しているのかは明白だ。
現在、彼が習得すべく技を磨いているのが4回転半ジャンプ、クワド・アクセルだ。まだ世界で誰も成功させたことがない前人未踏のジャンプを、羽生は自身の「武器」にしたいと考えている。
「今、僕には圧倒的な武器が必要。もちろん、(アクセルは)4回転ルッツとの点差はたった1点であり、そこまでして習得すべき価値があるのか、それならルッツを2回飛んだほうが点数になるんじゃないかなど、自分でも疑問に思う部分はある。
ただ、これは僕自身のプライド。今の僕のスケートを支えている芯なので、絶対に飛びたい。それも含めたうえで、四大陸をどうこなしていくか、どれだけ成長する場にできるかということを考えて希望した」
1か月に3つの大会をこなす過酷な日程のなか、グランプリファイナルではネイサン・チェン、全日本選手権では宇野昌磨と熾烈な戦いを繰り広げ、2度破れた羽生。怪我はしていないとはいえ、疲労の影響は否めない。十分な休養が必要だろう。
それでも、羽生結弦は立ち止まろうとはしない。新たな高みを目指すため、そして再びの頂点を目指し、新たなフィギュアスケートの歴史を創ろうとしている。
取材・文●熊介子(THE DIGEST編集部)
【羽生結弦PHOTO】4年ぶりV逃すも、会見で「やっと心から昌磨が全日本王者と言えると思う」とユヅスマイル炸裂!
フリーで優勝争いを繰り広げたのは、平昌冬季五輪のメダリスト同士でもある羽生結弦と、宇野昌磨だ。ショートプログラム(SP)を終えた時点では1位羽生、2位に宇野だったが、シーズンベストを出した宇野は、290・57点で羽生(282・77点)を逆転。同大会4連覇を達成した。
4年ぶりにこの大会に参加した羽生は、フリーのパフォーマンスでジャンプなどのミスを繰り返し、得意のトリプルアクセルでは転倒。さすがに終了後は呆然とした様子で、「疲れました。身体と心がバラバラで、自分がコントロールできなかった」と語るのが精いっぱいだった。
しかし、来年2月に開催される四大陸選手権、3月に世界選手権に日本代表として参加することが発表された記者会見では、胸の内に静かな炎を燃やしていることが分かった。
「僕にとって四大陸はひとつの壁。今回は、希望を出しました。試合を経て、いろいろ経験して、いろいろ吸収しながら強くなって、成長していけたらと思う。もしかしたらそこでネイサン(・チェン)と当たるかもしれないし、まずはこの大会で負けてしまった昌磨という壁もある。思い切りぶつかりたい」
さらに、世界選手権の直前に行なわれる四大陸選手権の意義を、「新しい技を習得するステップにしたい」とも語った。新しい技の名前を口にすることはなかったが、何を指しているのかは明白だ。
現在、彼が習得すべく技を磨いているのが4回転半ジャンプ、クワド・アクセルだ。まだ世界で誰も成功させたことがない前人未踏のジャンプを、羽生は自身の「武器」にしたいと考えている。
「今、僕には圧倒的な武器が必要。もちろん、(アクセルは)4回転ルッツとの点差はたった1点であり、そこまでして習得すべき価値があるのか、それならルッツを2回飛んだほうが点数になるんじゃないかなど、自分でも疑問に思う部分はある。
ただ、これは僕自身のプライド。今の僕のスケートを支えている芯なので、絶対に飛びたい。それも含めたうえで、四大陸をどうこなしていくか、どれだけ成長する場にできるかということを考えて希望した」
1か月に3つの大会をこなす過酷な日程のなか、グランプリファイナルではネイサン・チェン、全日本選手権では宇野昌磨と熾烈な戦いを繰り広げ、2度破れた羽生。怪我はしていないとはいえ、疲労の影響は否めない。十分な休養が必要だろう。
それでも、羽生結弦は立ち止まろうとはしない。新たな高みを目指すため、そして再びの頂点を目指し、新たなフィギュアスケートの歴史を創ろうとしている。
取材・文●熊介子(THE DIGEST編集部)
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