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「達成感がある」羽生結弦が千秋楽『RE_PRAY』を完全燃焼できたワケ。「魂を込めた滑り」から垣間見えた“真のアスリートの姿”

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.02.20

単独アイスショーのツアー千秋楽を迎えた羽生。会場は超満員に膨れ上がった。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

「とにかく出し尽くせたなって思えるぐらい、今日もここに魂を込めた滑りを置いてきたと思います」

 昨年11月の埼玉公演からスタートしたプロスケーター・羽生結弦の単独アイスショー『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd "RE_PRAY" TOUR』の千秋楽が、2月19日に横浜でフィナーレを迎えた。

 自ら企画・台本・出演・制作総指揮を務め、演出は日本を代表する演出振付家のMIKIKO氏が担当。去年2月の東京ドーム公演『GIFT』に続き、再タッグを組んだ画期的なアイスショーは連日、超満員を記録。埼玉、佐賀、横浜と転戦した約3か月の公演は大盛況のなか、幕を閉じた。
 
 稀代のスケーターは公演終了後、「達成感はあります」と振り返り、「本当に今までの自分と比較しても、一番練習してきたんじゃないかな」と全3公演を無事に走り切り、完全燃焼できたことに満足。「何より見てくださる方々が本当に嬉しそうな顔をしていたので、頑張って良かった」とツアーに詰めかけたすべての観客に謝辞した。

 しかし、達成感と同時に「あらためて、めちゃくちゃきついなって感じています。今回の構想では、『フリーと、ほぼ同じ状況で挑みたい』っていうのを思って作ってきたんですけど、本当に大変でした」と思わず本音を吐露。だがそれでも、苦しんでたどり着いた先に確かな手応えを掴んだ。

「こうやってツアーという形で、何回も何回も挑戦をさせて頂くことによって、こういうトレーニングをしたら結果が出せるとか、手応えみたいなものをあらためて感じたので。毎回毎回レベルアップできるように自分のストーリーの中でもありますけど、経験を積んで、またより一層、技術的にも高い自分を見せていけるように頑張れる希望を持てました」

 ゲームの世界観を中心に試行錯誤のなかスタートした自身初のツアーは、課題と成果の連続だったという。

「毎回毎回、進化すべきところが見つかっていくので。ある意味、競技者として戦っていくような。過去の自分をどうやって乗り越えていくのか、強くなっていくのかっていうことを常に考えながら、本当にストイックに自分を追い込みながら練習をしてきました」
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まるで競技会のような『破滅への使者』