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3連単153万馬券の大波乱はなぜ起きた? 人気薄ペプチドナイルをGⅠ戴冠に導いた藤岡佑介騎手の“コミュニケーション力”【フェブラリーS】

三好達彦

2024.02.21

藤岡佑介騎手に導かれ、11番人気のペプチドナイルが初のGⅠ制覇。予想外の結果に競馬場は騒然となった。写真:産経新聞社

藤岡佑介騎手に導かれ、11番人気のペプチドナイルが初のGⅠ制覇。予想外の結果に競馬場は騒然となった。写真:産経新聞社

 2月18日、春のダート王決定戦となるフェブラリーステークス(GⅠ、東京・ダート1600m)が行なわれ、単勝11番人気のペプチドナイル(牡6歳/栗東・武英智厩舎)が先行集団から抜け出して快勝。武英智調教師は嬉しいGⅠ初制覇となった。

 一方、重賞未勝利ながら1番人気に推されたオメガギネス(牡4歳/美浦・大和田成厩舎)が直線で失速して14着に終わったほか、2番人気のウィルソンテソーロ(牡5歳/美浦・小手川準厩舎)が8着、3番人気のドゥラエレーデ(牡4歳/栗東・池添学厩舎)が12着にそれぞれ大敗。その間隙を突いて2着に初ダートで5番人気のガイアフォース(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)が差し込み、3着には後方から追い込んだ13番人気のセキフウ(牡5歳/栗東・武幸四郎厩舎)が入って、3連単の払戻金が153万500円を記録する大波乱となった。

 前置きになるが、サウジアラビアで開催される優勝賞金1000万ドル(約15億円)という世界最高賞金レースのサウジカップ(GⅠ、ダート2000m)へ日本のトップホースが相次いで遠征している。

 例えば、昨年のドバイワールドカップ(G1)の覇者であるウシュバテソーロ(牡7歳/美浦・高木登厩舎)、昨年のブリーダーズカップ・クラシック(G1)で2着に食い込んだデルマソトガケ(牡4歳/栗東・音無秀孝厩舎)、昨年のフェブラリーステークスとチャンピオンズカップ(GⅠ)を制して中央では無敵と印象付けたレモンポップ(牡6歳/美浦・田中博康厩舎)の「トップ3」が抜けた今年の本レースは例年と比べてレベルが下がったのは確か。クリストフ・ルメール騎手が乗る重賞未勝利のオメガギネスが3.2倍の1番人気に祭り上げられたのは、その証拠のひとつと言えるだろう。

 そのぶん、馬券的な楽しみが増えたわけだが、結果は明らかにファンの想像を超えるロングショットとなった。
 
 これだけの大波乱を呼んだ理由は、良馬場で行なわれたフェブラリーステークスで、史上稀に見るハイペースにあった。

 予想されていた通りにドンフランキー(牡5歳/栗東・斉藤崇史厩舎)が先手を奪い、それを前年のJBCスプリント(JpnⅠ)を制した地方所属のイグナイター(牡6歳/園田・新子雅司厩舎)とウィルソンテソーロが追走。さらにはドゥラエレーデやペプチドナイルが続いたため、入りの3ハロンが33秒9、前半(800m)のハロンタイムが45秒6という超ハイペースとなり、息を入れる暇もなく逃げ・先行勢には苦しい展開となった。

 後続も差を詰めつつ迎えた直線。バテはじめる逃げ・先行馬たちをよそに、イグナイターが粘りを見せて先頭に躍り出るが、それも長いホームストレッチの坂を迎えるまでがやっと。一気に差し・追い込み馬が先団に襲い掛かるが、道中はハイペースの4番手を進んだペプチドナイルが驚異的なスタミナを発揮して馬群から抜け出して勇躍、先頭に立つ。

 そこへ中団から渋い脚を使ったガイアフォース、武豊騎手の待機策が功を奏して後方集団から追い込んだセキフウや、ギリギリまで追い出しを我慢したタガノビューティー(牡7歳/栗東・西園正都厩舎)も脚を伸ばす。しかし、一歩先に抜け出したペプチドナイルはそれらの面々を寄せ付けず、ガイアフォースに1馬身1/4差を付けて快勝を果したのだった。
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