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「もう釣りに行くこともできない…」パリ五輪サーフィン開催地の地元住民から不安の声。米メディアも懸念「五輪が街にやってくることは祝福でもあり、呪いでもある」

THE DIGEST編集部

2024.02.22

7月のパリ五輪開催に揺れるチョープー。急ピッチで開催に向けて準備が行なわれている。(C) Getty Images

7月のパリ五輪開催に揺れるチョープー。急ピッチで開催に向けて準備が行なわれている。(C) Getty Images

 パリ五輪開催まで156日(2月21日現在)。

 東京五輪で初めて正式種目に選ばれたサーフィンの開催地は、フランス・パリではなく、パリから約1万5700キロ離れた南太平洋に位置する、フランス領ポリネシア・タヒチ島南部のチョープーだ。

 タヒチ島南部のチョープーは、400m沖合の場所で、美しい筒状のチューブが炸裂する、世界で最も有名なリーフブレーク(サーフポイントが岩やサンゴ礁のこと)とも言われ、ビッグウェーブが訪れると上級者でも恐怖に陥るほどの"最恐の波"で知られている。
【画像】タヒチ出身の写真家が捉えた"世界最高峰の波"をチェック
 

 タヒチ観光局の公式サイトには「世界最大の海洋保護区があります。…クジラ、ウミガメ、エイ、そして2006年から保護されている20種以上のサメなど、さまざまな保護種の天国であり、海洋生物の多様性のバランスに不可欠な場所です」と記されており、続けて「1996年から糸釣り以外の漁具・漁法の使用を禁止しており、排他的経済水域(EEZ)はポリネシア漁船団のために確保されています。フランス領ポリネシア以外には漁業免許は販売されておらず、産業漁業も厳しく禁止されています」と、世界で最も有名なリーフブレークや自然環境の豊かさだけでなく、生態系の保護にも早くから力を注いできた島だ。

 また、『AP通信』はチョープーについて「サーフィンの世界では有名な場所だが、チョープーにはサーフショップが1軒もなく、人気のサーフスポットにありがちな開発もほとんど行なわれていない」と綴られており、ありのままの豊かな自然の中で静かに暮らす街の様子が想像できる。

 そんなタヒチ・チョープーでのサーフィン開催で、試合時に審判員などが使用する予定のタワーの建設を巡って、地元住民から反発の声があがっている。

  1964年創刊のアメリカの老舗サーフィン専門誌『SURFER MAGAZINE』は2月20日、「オリンピックのサーフィンはタヒチに壊滅的な被害をもたらすのか?」というタイトルの記事を配信。冒頭で「オリンピックには、開催都市を荒廃させるという悪名高い歴史がある。環境破壊から住民の移住まで、オリンピックが街にやってくることは祝福であり、呪いでもある。一方では、経済的なチャンスでもある。一方では、オリンピックをきっかけに取り返しのつかないダメージを受ける可能性もある」と綴り、五輪開催は開催地に様々な変化や被害をもたらし得ると言及している。
 
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