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10位入賞ハースの小松代表は「戦略の勝利」を強調する一方、RBは「スポーツマンらしくない」と非難…角田裕毅はライバルを口撃せず

THE DIGEST編集部

2024.03.11

サウジアラビアGPでは15位に終わった角田。開幕から決勝レースでは厳しい戦いが続いている。(C) Getty Images

 F1第2戦のサウジアラビア・グランプリ、3月9日に開催された決勝ではニコ・ヒュルケンベルクが10位入賞を果たし、ハースに今季初のポイント(1点)をもたらした。

 開始から6周目にランス・ストロール(アストンマーティン)のクラッシュでセーフティーカーが出動した際、他車が一斉にピットインする中で、ステイアウトしたヒュルケンベルクは、ポジションをキープして入賞圏を最後まで守り切ることに成功したが、この戦略において大きな貢献を果たしたのが、チームメイトのケビン・マグヌッセンだった。

【動画】マグヌッセンの厳しい寄せに角田裕毅が順位を下げる…サウジGP決勝
 このデンマーク人ドライバーは、序盤にアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)と接触して10秒のタイムペナルティーを受け、その後にはコース外から角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB)を抜いたことで、さらに10秒を加算されることになり、この時点で入賞の可能性はほぼ潰えた。

 すると、彼は前方のヒュルケンベルクをサポートする役に徹し、意図的に2秒ほどラップタイムを落として後方の角田らを抑えることで、チームメイトとのギャップを広げさせる。これにより、ヒュルケンベルクはタイヤ交換を終えた後もマグヌッセンの前でコースに復帰でき、これで10位の座がほぼ確実となった。

 2017年のハンガリーGPではレース中のインシデント(マグヌッセンが当時ルノーのヒュルケンベルクをコース外に押し出した)でかの有名な口論を展開した2人のドライバーだが、1ポイントを獲得したドイツ人ドライバーはレース後、「今日はケビンのチームワークもあり、僕がピットウィンドウを作れるように他車を遅らせてくれた。完璧なチームワークであり、シーズン後半には彼に恩返ししたいと思う」と、チームメイトへ感謝の意を示している。

 対して、マグヌッセンも「僕自身は良いペースだったが、残念ながら2度のペナルティーを受けてしまい、素晴らしい日とはならなかった。しかし、ニコがピットインするためのギャップを作るためにライバルたちを後方に抑えたということで、それを補えたと思う。これによって彼がポイントを獲得できたのは、非常に重要なことだった」と、チームプレーで得た成果に満足感を表わした。

 そしてハースの小松礼雄代表は、「素晴らしいチームワークでした。10位の座をめぐり、他の8人のドライバーとの戦いとなり、チャンスを活かすためには全てが完璧でなければなりませんでした。ケビンが2度のペナルティーを受けて争いから脱落したと分かると、我々は素晴らしい判断を下した。ケビンは、その間にターゲットラップタイムを設定しながら素晴らしいドライブをしてライバルを後退させ、ニコも完璧なドライブをしました。これは大きなチームワークの成果です」と、戦略の勝利であることを強調している。
 
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