ラグビー

【ラグビー】各国ワールドクラスが大量参戦したリーグワン。今季強かったのは彼らに“依存しない”チーム

向風見也

2024.06.02

リーグワン初優勝を飾ったBL東京。NZ代表モウンガなど強力な陣容を誇った。(C) Getty Images

 ワールドカップフランス大会後、最初の国内リーグワンが5月26日に幕を閉じた。

 トップリーグから新装開店して3季目の国内シーンは昨年12月にスタート。例年にも増してプレーの強度、速度が増していた。

 現行レギュレーション上、日本代表資格のある海外戦士は外国人枠の制限とは無関係に出場できる。おかげで各チームは、体格、経験値に長ける国外勢をたくさんフィールドに並べられる。

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 レギュラーシーズン全勝のワイルドナイツも、白星を重ねながら対戦相手の脅威を感じていた。坂手淳史主将は述べる。

「自分たちが準備したものを100パーセント発揮しないと、足元をすくわれる(と感じる)」

 何よりゲームの水準を高めたのは、相次ぎ参戦する各国代表勢だろう。

 初来日組では、2023年の世界最優秀選手であるアーディー・サヴェアがコベルコ神戸スティーラーズの核弾頭となった。

 サヴェアと同じニュージーランド代表のリッチー・モウンガ、シャノン・フリゼルは、東芝ブレイブルーパス東京で14季ぶりの日本一に喜んだ。

 ワイルドナイツ所属で南アフリカ代表のダミアン・デアレンデのような、既存組も持ち味を発揮した。ワールドカップ日本大会のあった2019年を前後し、世界トップの選手たちが日本の治安や食文化、ハイテンポなスタイルを知って好むようになっていたからだ。

 昨秋のフランス大会で日本代表だったワーナー・ディアンズは、東芝ブレイブルーパス東京の一員としてモウンガ、フリゼルとプレー。その体験から、日本に世界トップクラスの人材が来るメリットをこう語る。

「2人が来たことで、彼らから周りの選手が色々なことを学んだ。リッチーが来て、うちのバックス(モウンガと同じポジション群)は成長しました」

 各クラブが名手を揃えたことで、顔ぶれと試合結果との関係にはばらつきが生じ始めた。

 見かけ上の戦力と成績がいい意味で不釣り合いだったのは、横浜キヤノンイーグルスだ。

 昨季クラブ史上初めて3位になったイーグルスは、シーズンの大半でファフ・デクラーク、ジェシー・クリエルといった南アフリカ代表勢を怪我で欠いた。それでも、2シーズン連続で4強入りした。

 2020年就任の沢木敬介監督が、特定の戦力に頼らない攻防の枠組み、互いの働きについて厳しく要求し合う習慣を根付かせてきた結果だ。元主将の田村優はこうだ。

「彼らの怪我は残念でしたけど、2人がいない試合でも自分たちのベストに近いゲームができている。スーパースター2人がいなくなっても、細かいことにこだわってやれば力があるというのがわかった。これが組織としての成長です」
 
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「リッチーもシャノンもワールドクラス。ただ数年前の私たちは、彼らのベストを引き出せなかった」