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【名馬列伝】アグネスデジタルより30年以上も前に存在した「二刀流」。マーチス、アサカオーら宿命ライバルとつばぜり合いを演じた常識破りの“怪物オールラウンダー”

三好達彦

2024.06.30

芝・ダート問わず活躍したアグネスデジタルは「オールラウンダー」と称された。写真:産経新聞社

芝・ダート問わず活躍したアグネスデジタルは「オールラウンダー」と称された。写真:産経新聞社

 馬場の違いを乗り越えて、芝でもダートでも走る。芝の天皇賞(秋)、香港カップ、安田記念、マイルチャンピオンシップを制する一方で、フェブラリーステークス、南部杯と、ダートのGⅠ(JpnⅠ)でも勝利を挙げたアグネスデジタルは「オールラウンダー(複数の特質を併せ持つプレイヤー)」との呼び名で持て囃された。

 しかし、アグネスデジタルが活躍する30年以上も前に芝・ダートの「二刀流」であるのはもちろんのこと、距離もスプリント戦から長距離戦まで不問で、今では想像さえできない65キロという酷量さえ跳ね返した怪物的オールラウンダーがいたことをご存知だろうか。JRAの顕彰馬となっているタケシバオーが、その馬である。
 
 タケシバオーは1965年4月23日、元祖アイドルホースのハイセイコーなどを出したことで知られる名種牡馬チャイナロックを父に、豪州から導入された牝系に連なるタカツナミ(父ヤシママンナ)を母にして、北海道・新冠町にある榊憲治の牧場で生まれた。幼駒の時期にはまったく見栄えのしない小柄な馬であったことから、のちに預託を受ける調教師の三井末太郎が初めて見た際には「これが馬ですか」と、何とも失礼な感想を漏らしたという逸話がある。

 2歳になって東京競馬場にある三井の厩舎へ入ったタケシバオーだが、まだその頃の馬体は幼く細いまま。そこで三井は、オーナーの小畑正雄(競馬新聞『競友』社長)と相談のうえ一計を案じ、栄養価が高い輸入飼料を食わせ込んで体づくりに取り組んだ。その甲斐あって、タケシバオーは460㎏ぐらいまで体重も増え、競走馬らしい体つきになった。
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