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【名馬列伝】アグネスデジタルより30年以上も前に存在した「二刀流」。マーチス、アサカオーら宿命ライバルとつばぜり合いを演じた常識破りの“怪物オールラウンダー”

三好達彦

2024.06.30

 デビューは2歳6月の新潟。ここで芝1000m戦を2回連続で2着し、転戦した函館の芝1000m戦でようやく勝利を挙げた。そして次は札幌のダート1200m戦を3着とし、福島のオープン(芝1000m)に優勝。ここからタケシバオーの快進撃が始まる。

 福島のオープン特別(芝1100m)、中山のオープン(芝1200m)を連勝。3番人気で迎えた朝日杯3歳ステークス(芝1600m)では直線入口で先頭に立つと、あとは後続を引き離す一方で、ゴールでは2着に7馬身差を付けていた。この勝利でタケシバオーは一躍、翌春のクラシック候補と騒がれるようになった。

 この頃のローテーションは今とは比較にならないほどハードで、基本的に「使えるところは全部使う」というのが普通の考え方だった。クラシック候補と呼ばれるようになったタケシバオーも例外ではなく、3歳になってから皐月賞までの間に何と5レースに出走する。そして、その段階でマーチス、アサカオーと並んで「三強」の一角として評価されるようになっていく。
 
 年明けからの歩みを振り返ると、まず中山のオープン(芝1600m)に勝ち、続く東京4歳ステークス(ダート1700m)にも優勝。弥生賞(芝1600m)は暴走気味の先行策が裏目に出てアサカオーの2着に敗れたが(マーチスは3着)、続く中山のオープン(芝1800m)には優勝。さらにトライアルのスプリングステークス(芝1800m)はマーチスの2着となり(アサカオーは3着)、いよいよ一冠目の皐月賞(中山、芝2000m)に臨むことになる。

 皐月賞は予想通りに三強の争いとなったが、早めに先頭に躍り出たタケシバオーは並びかけたアサカオーを振り切ってゴールを目指すが、後方から強襲したマーチスに差されて3/4馬身差の2着に泣いた。

 また、トライアルのNHK杯(東京・芝2000m)を制して臨んだ日本ダービー(東京・芝2400m)では、三強が互いに意識しすぎて仕掛けが遅れたため、9番人気の伏兵タニノハローモアに逃げ切りを許し、タケシバオーはまたも2着に敗れた(3着アサカオー、4着マーチス)。ちなみに波乱を起こしたタニノハローモアの調教師は、のちにミホノブルボンを送り出すハードトレーニングで有名な戸山為夫である。

 普通ならば、いったん休養して菊花賞(GⅠ、京都・芝3000m)を目指すのが常道だが、ここからタケシバオーは独自の道を歩み始める。11月に行なわれるアメリカのビッグレース、ワシントンDCインターナショナル(ローレル・芝12ハロン)への招待に応じて渡米。8着に終わったが、貴重な経験を積んだ。
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