6月27日から30日まで、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで陸上の第108回日本選手権が開催された。『THE DIGEST』では4日間の熱戦で盛り上がった話題を選手の『言葉』とともに振り返る。今回は初出場した女子1500m決勝で7位と健闘した16歳・ドルーリー朱瑛里を取り上げる。
自己ベストに迫る4分16秒69のタイムで、この種目唯一の高校生(岡山・津山高)として予選通過を果たしたドルーリーは、経験豊富なシニア勢を相手に4分18秒16のタイムで決勝を走破した。優勝を収めたのは、すでに5000mでパリ切符を内定していた田中希実で、大会5連覇(4分01秒44)を達成。同五輪の参加標準記録を突破し、2種目での2大会連続オリンピック出場権を掴んだ。
レース直後、ミックスゾーンに現れたドルーリーは「自分が思うようなレースができずに終わってしまった」とすぐに反省を述べ、「位置取りは良く、1000m通過まではラクに行ってたんですけど、ラストの300から200で切り替えることができなかった」と終盤の伸び悩みを悔やんだ。
彼女の言葉通り、序盤は予選と同じように前方で積極的なレースを展開し、リズム良く走れていた。しかも中盤では、集団前方で前を窺う気配を見せるなど高校生離れした気持ちの強さを見せていた。ところが次第に集団から遅れはじめると、「憧れ」だと公言する田中の背中が遠ざかるように一気に突き放されてしまった。「(田中選手は)速いペースで、ひとりでも押していける所は本当にすごい」と、女子中長距離エースの圧倒的なスピードに脱帽するしかなかった。
パリ五輪を目指すトップ選手がしのぎを削る舞台での敗北は致し方ないと思えたが、それでも彼女ははっきり「悔しい」と口にした。トップランナーのスピードと駆け引きを肌で感じたことを7月末のインターハイだったり、より大きな大会に向けた糧とし、「課題を修正して、自分の強みを生かせるような走りをしたいです」と誓った。
去年1月の全国都道府県対抗女子駅伝で中学生区間の3区(3キロ)を『17人抜き』という異次元の快走を見せ、一気に世間の注目を集めた。高校進学後もその強さは変わらず、昨年のインターハイ女子1500mで3位に入賞するなど、着実な成長をみせている。そんな中で、実力的に格上が集う日本選手権で結果以上に大きな経験を積めたことは将来的にも大きなプラスになったことだろう。
質問の終盤には、「高校記録(4分07秒86)更新を目標に頑張っていきたい」とインターハイでの具体的な目標タイムも飛び出した。自身初となる国内ナンバー1の舞台は悔いが残ったというが、無限の可能性を秘める高校生ランナーにとって今回の戦いは貴重な経験となったことは確かだ。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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自己ベストに迫る4分16秒69のタイムで、この種目唯一の高校生(岡山・津山高)として予選通過を果たしたドルーリーは、経験豊富なシニア勢を相手に4分18秒16のタイムで決勝を走破した。優勝を収めたのは、すでに5000mでパリ切符を内定していた田中希実で、大会5連覇(4分01秒44)を達成。同五輪の参加標準記録を突破し、2種目での2大会連続オリンピック出場権を掴んだ。
レース直後、ミックスゾーンに現れたドルーリーは「自分が思うようなレースができずに終わってしまった」とすぐに反省を述べ、「位置取りは良く、1000m通過まではラクに行ってたんですけど、ラストの300から200で切り替えることができなかった」と終盤の伸び悩みを悔やんだ。
彼女の言葉通り、序盤は予選と同じように前方で積極的なレースを展開し、リズム良く走れていた。しかも中盤では、集団前方で前を窺う気配を見せるなど高校生離れした気持ちの強さを見せていた。ところが次第に集団から遅れはじめると、「憧れ」だと公言する田中の背中が遠ざかるように一気に突き放されてしまった。「(田中選手は)速いペースで、ひとりでも押していける所は本当にすごい」と、女子中長距離エースの圧倒的なスピードに脱帽するしかなかった。
パリ五輪を目指すトップ選手がしのぎを削る舞台での敗北は致し方ないと思えたが、それでも彼女ははっきり「悔しい」と口にした。トップランナーのスピードと駆け引きを肌で感じたことを7月末のインターハイだったり、より大きな大会に向けた糧とし、「課題を修正して、自分の強みを生かせるような走りをしたいです」と誓った。
去年1月の全国都道府県対抗女子駅伝で中学生区間の3区(3キロ)を『17人抜き』という異次元の快走を見せ、一気に世間の注目を集めた。高校進学後もその強さは変わらず、昨年のインターハイ女子1500mで3位に入賞するなど、着実な成長をみせている。そんな中で、実力的に格上が集う日本選手権で結果以上に大きな経験を積めたことは将来的にも大きなプラスになったことだろう。
質問の終盤には、「高校記録(4分07秒86)更新を目標に頑張っていきたい」とインターハイでの具体的な目標タイムも飛び出した。自身初となる国内ナンバー1の舞台は悔いが残ったというが、無限の可能性を秘める高校生ランナーにとって今回の戦いは貴重な経験となったことは確かだ。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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