ラグビー

「ONE TEAM」のその先は?ジョセフHC続投が日本にもたらすメリットと“W杯4強”への期待

多羅正崇

2020.01.12

ジェイミーHCが予定通り2023年末まで指揮を執るなら、約7年間の長期政権。W杯初開催の1987年大会以降ではジャパン最長となる。(C)Getty Images

 自国初開催のワールドカップ(W杯)で史上初の8強進出を達成したラグビー日本代表。大会後の2019年11月18日には、指揮官のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)の続投が正式に発表された。

 ジョセフHCの続投は朗報だが、既定路線でもあった。かねてより支持を公言していた日本ラグビー協会の森重隆会長は、ジョセフHCの手腕を高く評価し、4年後のW杯フランス大会に期待するコメントを発表している。

「2016年9月1日に男子15人制日本代表のヘッドコーチに就任後、わずか3年間で日本代表を世界レベルにまで強化してくれた手腕を高く評価している。

 今回のW杯で初のベスト8進出に導いてくれたことで、世界一の背中が見えてきた。これからの4年間、さらに日本代表を強化してくれることを期待している。ジョセフ氏の指導でこの先の日本代表がどこまで強くなるのか非常に楽しみである」

 契約期間は2020年1月1日から、2023年12月31日まで。2大会連続のW杯指揮は、ジョン・カーワン体制(2007、2011)以来2度目だ。
 
 ただ実際のところ、本腰を入れた2大会連続の強化は初めてではないだろうか。

「JK」の愛称で親しまれたカーワン元HCの就任は、2007年大会を控えた同年1月1日。2006年から始動はしていたが、準備期間は短かった。

 一方のジョセフHCは2016年就任で、3年間みっちりと鍛え上げた。予定通り2023年末までなら約7年間の長期政権。W杯初開催の1987年大会以降ではジャパン最長となる。

 本格的な2大会連続の継続強化が何をもたらすのか。3年間鍛えられ、W杯で8強入りを果たした日本代表が、同じ指導者によりどこまで成長するのか――。

 そんな前人未踏の挑戦を、日本ラグビーはジェイミー・ジョセフという世界的コーチの先導により経験することができるのだ。

 もちろんヘッドコーチとしての手腕も期待大だ。

 もともと"持たざる者"を強豪に育てる指導力は評価されていた。

 2015年には南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」でハイランダーズ(ニュージーランド)を優勝に導いているが、この時のハイランダーズにオールブラックスの選手はBKの3人のみ(A・スミス、B・スミス、フェキトア)。FWには一人もいなかった。

 W杯イヤーの2015年は各国代表が計画的に休息をとったシーズンでもあったが、プレーオフ準決勝で撃破したワラターズ(豪州)は各国代表13人。決勝のハリケーンズはB・バリット、ノヌーなど8人のオールブラックスが、先発にずらりと並んだ。