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陸上

走り高跳び東京金メダリストの伊タンベリ、決勝早朝に腎結石の疝痛発作「すべては終わった…。今朝5時、数日前と同じ激痛で目が覚めた」【パリ五輪コラム】

片野道郎

2024.08.11

決勝の日の早朝、腎結石の疝痛発作に見舞われたタンベリ。(C)Getty Images

決勝の日の早朝、腎結石の疝痛発作に見舞われたタンベリ。(C)Getty Images

 現地8月10日夜の男子走り高跳び決勝にエントリーしている東京五輪金メダリスト、ジャンマルコ・タンベリの出場が微妙になっている。理由は10日早朝に再発した腎結石の疝痛(せんつう)発作。10時過ぎに自身のインスタグラムで公表した。

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「すべては終わった……。今朝5時、数日前と同じ激痛で目が覚めた。腎臓の疝痛発作だ。それから5時間経ったけれど痛みはまだ去らない。2016年(のリオデジャネイロ五輪直前)に怪我をした時には運命に打ち勝ったけれど、今回は残念ながら向こうが勝ったようだ。言葉もない。本当に死にたい気分だ。今夜フィールドに立つか? そのつもりだ。でもこの状態でどうやって跳べばいいのか見当もつかない……」

 タンベリは、東京五輪の陸上100メートルと400メートルリレーで金メダルを獲ったマルセル・ジェイコブスと並び、イタリア陸上界を代表するトップアスリート。同じ走り高跳びで1980年のモスクワ五輪に出場したマルコ・タンベリを父に持ち、ジュニア時代から欧州のトップを争うエリートとしてキャリアを積んできた。
 
 リオ五輪を目前に控えた2016年6月、自己ベストの2.39メートルを出した直後、2.41メートルに挑んだ試技で足首をねんざし、24歳というキャリアのピークで迎えるはずだった五輪を断念するという悲劇に見舞われた。しかし、その後トップレベルに返り咲き、2021年の東京五輪に出場している。
 
 東京五輪では、同記録(2.37メートル成功、2.39メートルは3回失敗)で並んだ長年のライバル、ムタズ・エサ・バーシム(カタール)とのジャンプオフ(順位決定のための追加試技)を断り、ともに金メダルを分け合ったことで大きな話題を呼んだ。
 
 10年近くにわたって世界のトップレベルを維持してきたその実績だけでなく、ハンサムな風貌、「ハーフシェイブ」というニックネームが示す通り、顔の右半分だけ髭を剃り左半分は残して重要な試合に臨むユニークなスタイル(パリ五輪では自重)などから、スポーツメディアだけでなく、一般メディアでも動向が取り上げられるイタリア陸上界のアイドル的存在だ。
 
 32歳という年齢もあって「これがおそらく最後」と宣言したパリ五輪に向けては、参加する試合を絞り込んで調整を重ね、連覇に照準を合わせてきた。ところが、走り高跳び予選の3日前に腎結石の疼痛発作を起こして緊急入院。微熱を押してフィールドに下りた8月7日の予選では、日本の赤松諒一を含む上位5人がクリアした2.27メートルを3回失敗したものの、トップ12に入って決勝進出を果たしていた。
 
 発作の再発を公表したインスタグラムのポストを受け、イタリアメディアは一般紙からスポーツ紙、果てはファッション誌『ヴァニティ・フェア』までがこぞってニュースを配信している。

文●片野道郎

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