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ラグビー

トップリーグ開幕戦で際立った松島、リーチ、ケレヴィの存在。今度こそ「にわか」をつなぎ止められるか?

吉田治良

2020.01.13

健闘をたたえ合う東芝のリーチ・マイケル(左)とサントリーの松島幸太朗(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

健闘をたたえ合う東芝のリーチ・マイケル(左)とサントリーの松島幸太朗(右)。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「にわかファン」とは、てっきり外野にいる人間が面白おかしく、ちょっとネガティブな意図を含んで使う言葉だと思っていた。

 だから、日本ラグビーの頂点に位置するトップリーグの指揮官が、さらりとその言葉を口にしたことに、正直驚いた。

「ワールドカップからトップリーグにバトンがつながれたと思っている。勝ち負けはもちろん大事だが、観客のハートに突き刺さるような試合をすることも我々の責任。“にわかファン”に、もっとラグビーが素晴らしいスポーツだということを見せていきたい」

 1月12日に開幕したジャパンラグビートップリーグ2020。秩父宮ラグビー場で行なわれたその開幕戦で、昨季5位の強豪NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(NTTコム)を大いに苦しめた日野レッドドルフィンズ(日野)の細谷直GM兼監督は、試合後の記者会見でそう話した。

 伝わってきたのは、強い責任感、使命感だった。
 
 自国開催のW杯で史上初のベスト8入りを果たした直後のトップリーグである。もしかするとこれが、「にわかファン」を真のファンへと育て、ラグビーをひとつの文化として日本に根付かせるラストチャンスかもしれない──。そうした切実な想いを、日野の指揮官だけでなく、日本ラグビー界全体として共有しているように感じた。前回2015年のW杯イングランド大会で南アフリカから大金星を挙げながら、「にわか」を取り込めず、ラグビー人気を一過性のブームで終わらせてしまった苦い教訓が、そこに生きている。

 乱れていた規律面を修正し、後半だけで3つのトライを挙げて29-20と逆転勝利を飾ったNTTコム。終了間際の78分、「狙っていた」というインターセプトから約50メートルの独走トライで粘る日野を突き放したキャプテンのFL金正奎は、奇しくも日野の細谷GM兼監督と同じようなコメントを残している。

「こうして集まってくれたたくさんのお客さんに、何か刺激を与えるようなプレーを見せたかった。(日野に前半リードを許したが)日本代表と同じように、最後まであきらめずに戦い抜くことができた」
 

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