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女子カーリング“新旧道銀”決戦はフォルティウスに軍配! 延長戦にもつれる死闘を制し、歓喜の涙→五輪日本代表候補出場切符を獲得【日本選手権】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.02.09

“新旧道銀”対決となった女子カーリング決勝はフォルティウスが勝利を収めた。(C)JCA/H.IDE

 首都圏初開催として注目が集まったカーリングの日本選手権(神奈川・横浜BUNTAI)は2月9日、女子の決勝戦が行なわれた。"新旧道銀"対決となったフォルティウスと北海道銀行の一戦は延長戦の末、フォルティウスが8対7で競り勝った。この結果、同チームは9月に実施される2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の日本代表候補決定戦の出場権を獲得。一方、2大会連続の準優勝に終わった北海道銀行は五輪出場の可能性が途絶えた。
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 オリンピックに望みをつなげる譲れない戦いは序盤から大接戦だった。第1エンド、両軍のナンバー1ストーンがハウス内に集中する。甲乙つけがたい位置となり、これを巡りいきなりメジャー計測となる白熱したエンドになった。審判が慎重に見極めると、軍配が上がったのは赤色ストーンの北海道銀行。ミリ単位での勝負を制し、まず1点をスチールした。

 フォルティウスの2対1で迎えた第4エンドは互いにダブルテイクの応酬。最後は北海道銀行のスキップ田畑百葉がきっちりドローを決め、北海道銀行が3対2と逆転する。

 第6エンドは初のオリンピック出場に執念を燃やすベテランが渾身の一投を投じる。フォルティウスの絶対的エース・吉村紗也香が2投目に投じたストーンが相手の石を外に弾いたうえ、投じた石がそのまま中心にピタっと止まるミラクルショットが炸裂。フォルティウスが大きな3点を奪い、5対3と勝ち越す。

 第7エンドは田畑の2投目が無情にも中心部を通り過ぎて1点どまりだったが、直後の8エンドで5対5の同点。平均年齢22.2歳の若き北海道銀行がスコアを五分に引き戻した。

 勝負の第9エンド、手前にガードストーンが置かれた難しい状況で吉村が冷静にアイスを読み切り、2投目を時計回りにハウス中心部にとどめて貴重な2点を奪取。フォルティウスが7対5と再び勝ち越した。

 だが北海道銀行が最終第10エンドで底力をみせる。スキップ田畑が外せばフォルティウス勝利が決まる重圧のなか、2投目をハウスのど真ん中にとどめる完璧なドローショットで2点をもぎ取り、土壇場で同点。ゲームは7対7のまま、決着がつくまで行なわれるエキストラ・エンド(延長戦)に突入する。

 迎えた第11エンド、北海道銀行の赤色ストーンが1つハウス中心部にある状況で吉村の1投目。ガードストーンをさけた黄色ストーンは相手の石を弾いてナンバー1に入れ替わる。追い込まれた北海道銀行は田畑が投じたラストショットはフォルティウスの石を外に弾くが、自軍の石も中心から大きく外れてしまう。緊張感が高まるなか、吉村のビクトリーショットはゆったりとしたスピードで中心部にとどまり、死闘に終止符が打たれた。試合後、両軍選手たちは歓喜と悔しさの涙を流した。
 
 大会最終日を飾るにふさわしい死闘を見届け、アリーナを埋めた約2100人の観客は万雷の拍手を両チームに送った。なお、優勝したフォルティウスはSC軽井沢クラブ、ロコ・ソラーレと9月に北海道・稚内で開催する五輪代表候補決定戦を戦う。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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