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水泳

34歳・鈴木聡美が平泳ぎ三冠を完遂! 「私が一番知りたい」と笑う、進化し続ける強さの秘訣【競泳日本選手権】

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2025.03.24

34歳の鈴木が平泳ぎ三冠を達成した。(C)Getty Images

34歳の鈴木が平泳ぎ三冠を達成した。(C)Getty Images

 3月23日、7月に開幕する世界水泳(シンガポール)の代表選考会を兼ねた競泳日本選手権は女子50メートル平泳ぎが行なわれ、鈴木聡美が30秒36で優勝した。今大会は100、200メートルも制しており、山梨学院大(2年生)に在籍していた2010年以来となる平泳ぎ三冠を達成した。
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 12年ロンドン五輪メダリストの進化が止まらない。圧巻の強さで平泳ぎ三冠を成し遂げ、世界水泳の代表も内定した。レース後、鈴木は「自分が把握していないのもあれですが、『また変わった記録を作ったな』と思います」と笑いながら、「正直、200メートルは自信がそこまで確実なものがなかったので、誰が勝ってもおかしくない。そういう思いで泳いでいた。だからこそ嬉しいし、50メートルは絶対に誰にも負けたくなかった。三冠というもののすごさ、大切さというのを今はしっかり受け止めたい」と充実した表情で振り返った。

 近年の躍進ぶりについては、「いろんな方と話をしているんですけど、私が一番知りたいです」と笑った。「ただただ目の前の課題をしっかりクリアしていく。それが社会人になってからは、特に大事なことだなと今はすごく実感している」と受け止める。
 
 20代前半から後半にかけてキャリアに終止符を打つことが多い水泳選手のなかでは異例ともいえる34歳の現役スイマー。23年に地元・福岡で開催された世界水泳では100メートル予選で14年ぶりの自己ベストをマークし、決勝進出を果たすと8位入賞。故郷のファンを大きく沸かせた。一時は代表落ちする不振もありながら、そこから鮮やかな復活劇で24年パリ五輪の出場につなげた。勝てないことが当たり前な辛い時期があったなか、鈴木は「周りや監督の言葉を信じて。あとは自分の可能性をもっと信じていた」と強い信念を持ち続けていたと明かす。

 レースの自己評価としては「80点くらい」と厳しめに総括した。「一番は自己記録が出ていないこと、そして29秒台がこの大会で出せなかったことの2点がマイナスだと思う。これからスピードも特化していくであろうし、200の代表にもなりましたので、すべてが活かせられるような練習が増えてくる」とベテランらしく冷静に分析しながら、7月の大舞台では「くじけることなく記録を出したい」とマルチに活躍できる姿を見せたいと次のように誓う。

「どんな状況であれ、しっかりとベストパフォーマンスに持っていくコンディション作りがどの大会においても求められるので、それがベテランと言われるものの力を試されている。一番は気持ちをどれだけ強く持てるかというのが大事。自分は大丈夫、ちょっと疲れていてもしっかり動けるぞとか、そういった思いが大切だと思うので気持ち腐らずやること。うまくリフレッシュも使いながら今後もやっていきたい」

 世界水泳福岡のリベンジを、今度はシンガポールで果たしたいと燃える鈴木。さらにその先の28年ロス五輪まで見据えるベテランスイマーの向上心は、まだまだ尽きない。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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