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格闘技・プロレス

「次のステージでも逃げない」女子プロレス界の横綱・里村明衣子、選手キャリアに幕を下ろすも“闘い”はこれからも続く「スーパースターを育てます」

橋本宗洋

2025.05.06

最後の引退試合でも里村は全く衰えを見せなかった。写真:橋本宗洋

最後の引退試合でも里村は全く衰えを見せなかった。写真:橋本宗洋

「強く生きる」

 4月29日の里村明衣子引退興行(後楽園ホール)、そのパンフレット最終ページに記されていた言葉だ。里村自身が書いた文字だった。

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 中学3年生で長与千種率いるガイアジャパンに入門。“驚異の新人”と呼ばれ出世街道に。2005年からは宮城県に拠点を移し、センダイガールズ(仙女)のエースとして活躍。後に社長となった。2011年、東日本大震災の直後のことだ。

 仙女で橋本千紘、DASH・チサコ、岩田美香といった選手たちを育て、自身はアメリカ・WWEともコーチ兼任で契約。その活躍ぶりは“女子プロレス界の横綱”の異名にふさわしく、またリング上でもリング外でも“強い生き方”を見せてきたと言っていい。

 昨年7月、引退を発表すると、引退ロードの中で数々の名勝負を残した。仙女のシングル王座を獲得し、愛弟子である橋本千紘と大激闘。鈴木みのるともシングルで壮絶な闘いを繰り広げた。小橋建太プロデュース興行では、初めて女子の試合でメインを張っている。

 引退ロードの中で試合数はどんどん増えていき、かなりハードなスケジュールとなった。しかし本人に聞くと「試合のたびに調子が上がってるんですよ」。最後の最後、引退試合で「最強の里村明衣子でリングに上がります」とも。

 ギリギリまで考えた引退試合のマッチメイクは、里村明衣子&愛海vs橋本千紘&アジャコング。里村に連勝中の仙女のトップ(橋本)と成長株(愛海)、そしてキャリア最大のライバルであるアジャというメンバーだ。里村と仙女の過去、現在、未来を見渡す顔ぶれと言っていい。

 メインだけでなく、大会全体にもそれは言えた。ジャガー横田、尾崎魔弓といった大ベテランから新人のYUNA(仙女)、暁千華(マーベラス)。昭和デビューから令和デビューまで、里村は女子プロレスの長い歴史を“つなぐ”存在でもある。里村引退で久々に会場を訪れたファンにとっては、最前線の選手たちとの新鮮な“出会い”もあったはずだ。

 メインの里村引退試合。相手が橋本とアジャではかなり厳しいかとも思われた。真っ向勝負で派手に散るというのも引退試合らしい光景ではある
 だが、里村にそんな常識は通用しなかった。過去2戦、橋本にフォールを許したパワーボムを返し、最後は愛海のアシストから必殺技スコーピオ・ライジングを決めてアジャから3カウント。まったく衰えを感じさせないまま、里村は最後の試合を終えた。
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