「道中は馬場の良くない内に閉じ込められないように気をつけました。手応えも良く、リズムを取って行けました。直線、他の馬を交わす際、私は必死でしたが、馬はしっかりと反応して伸びていってくれました」と語り、「ベリーベリーホース」の決め台詞でインタビューを締めくくった戸崎圭太騎手。昨年の有馬記念を制し、また今年の宝塚記念（ＧⅠ）では11着に大敗と、レガレイラの良いところも課題も知っての冷静な騎乗はさすがJRAで常にトップ争いをしてきた名手に相応しいもの。まさに”ベリーベリージョッキー”らしい手綱さばきだった。

　陣営からの正式発表ではないものの、体調等に問題がなければ、12月28日に行なわれる有馬記念で牝馬として初の２連覇を目指すものとみられている。昨年以上の地力アップが明らかなだけに、これからの動向が非常に楽しみだ。

　パラディレーヌは、１番枠からのスタートを生かしてロスを回避しながらいったんは抜け出すことに成功した岩田望来騎手のパーフェクト騎乗での２着。レガレイラには現時点できっちりと差を付けられた形だが、まだ成長過程にある３歳馬だけに、来年の４歳シーズンに向けて実にいいレースができた。
  　６歳のライラックは、GⅠレースに限れば2022年の本レース（２着）以来の馬券圏内突入となる３着に大健闘。レースが流れれば必ず最後に伸びてくる自慢の末脚がいまだ錆び付いていないことを証明した。いまだ新馬戦とフェアリーステークス（ＧⅢ）の２勝しか挙げていないが、これまで大きな故障もなく24戦を走り続けてきたタフネスには頭が下がる。

　４着に食い込んだリンクスティップは、先団から早めに動く競馬が功を奏した。後続に差されはしたものの、大きくバテているわけではなく、こちらも３歳だけに来年への期待は膨らむ。

　最終コーナー12番手から５着まで追い込んだココナッツブラウンは、結果としてライラックに切れ味で劣ったという印象だが、道中でやや行きたがる素振りが見られた。スムーズであればさらに末脚の切れが増したのではないかと思われるが、それも含めて結果がすべてではある。それでも、重賞を連続２着してここへ臨んだ充実ぶりは、３番人気に推されるに値するものだと感じられた。

文●三好達彦

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