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ラグビー

【ラグビーW杯をヒット記事で振り返る!】開幕戦の勝利は通過点。日本代表は「本物のラグビー強国」への一歩を踏み出した

吉田治良

2019.11.10

ハットトリックを達成した松島は唯一人、この晴れ舞台を楽しんでいるようだった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

ハットトリックを達成した松島は唯一人、この晴れ舞台を楽しんでいるようだった。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

「ボックスキックを蹴って、アンストラクチャー(陣形が乱れた混沌状態)を起こすというロシアの戦い方は予想通りだった」(姫野)が、日本は2週間前の南アフリカとのテストマッチと同様、ハイパントの処理が安定せず、キッキングゲームでプレッシャーを受け続けた。

 12分、日本は敵陣左隅のラックから右へ展開。CTBラファエレ・ティモシーの華麗なオフロードパスを経由して、最後はWTB松島幸太朗がトライを奪い返したが、それでもまだ動きから硬さは取れない。田村のキックは精度を欠き、SH流大の球出しのテンポが上がったと思った矢先に、単純なハンドリングミスを犯す。フィジカルで勝るロシアの重くて低いタックルにも苦しみ、とりわけ前半は接点での勝負で後手に回った印象が否めなかった。

 ただ、日本にとって幸運だったのは、ロシアのキッキングゲームが、南アフリカほどのクオリティーを伴っていなかったことだ。相手のケアレスミスにも助けられ、徐々に落ち着きを取り戻していく。

 34分にゴール右隅へと飛び込んだ松島のプレーは、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)の判定でノートライとなったものの、直後の38分には連続攻撃からCTB中村亮土の巧みなフリックパスを受けた松島が、今度は正真正銘のトライを挙げて逆転に成功。田村のコンバージョンも決まり、12ー7で前半を折り返す。
「日本のアタックは非常にスピーディーだった。日本のように速くボールを動かすラグビーに、我々は慣れていない」

 試合後、ロシアのリン・ジョーンズHCが感服したように、日本は後半になると素早くボールをつなぎ、フェーズを重ねる本来のアタックを取り戻していく。ティモシー、そしてこのゲームで最多16回のボールキャリーを記録した姫野の縦への突進も、時間の経過とともに目立つようになった。

 47分、FLピーター・ラブスカフニがタックルから相手ボールを奪い取り、そのままおよそ50メートルを独走してトライ。このビッグプレーで点差を広げると、60分前後にはゴールライン付近で押し込まれる時間帯が続くも、ここを粘りのディフェンスで1PGのみでしのぎ切る。

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