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ラグビー

【ラグビーW杯をヒット記事で振り返る!】もう奇跡とは言わせない。「4年間の努力」が結実したアイルランド戦の勝利は必然のアップセットだ

吉田治良

2019.11.10

時にはチームを鼓舞し、自らも最後まで戦う姿勢を失わないリーチ・マイケル。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

時にはチームを鼓舞し、自らも最後まで戦う姿勢を失わないリーチ・マイケル。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 だが、2トライこそ奪われたものの、立ち上がりから鋭かった日本の出足は一向に鈍らない。

 PRの稲垣啓太が、「1本目に組んだ瞬間、今日は行けると思った」というスクラムで、世界最強とも謳われるアイルランドの強力FWと互角に渡り合うと、ジェイミー・ジョセフHCが「一番の焦点はタックルだった」と振り返ったように、勇敢かつ効果的なタックルを連発して相手にゲインライン突破を許さない。さらに、ロシア戦からは見違えるほど精度が上がったブレイクダウン(タックル成立後のボール争奪戦)でも優位に立つのだ。

 30分にはNO8のアマナキ・レレイ・マフィが脇腹を痛めて交代を余儀なくされるアクシデントがあったが、代わってFLの位置に入ったリーチ・マイケル(姫野和樹がNO8に)が、チームにさらなる勢いをもたらす。

 リーチ投入直後の31分、アイルランドがマイボールラインアウトで犯したミスを逃さず、そこから連続攻撃を仕掛けて獲得したPGを田村が決める。さらに、35分過ぎには自陣22メートルライン付近での相手ボールスクラムを押し返して、ターンオーバー。PRの具 智元が雄叫びを上げる。そしてアイルランドに息つく暇も与えず、FWとBKが一体となって攻め立てると、またしてもファウルを誘発。39分に得た、この40メートル超えのPGを再び田村がねじ込み、9-12と3点差にまで詰め寄るのだ。
 

「自分たちがしっかりとボールを持つことをテーマにした。早くするところは早く、ゆっくり行くところはゆっくりと。そのコントロールが上手くできた」

 SHの流大がそう語ったように、この日の日本はジョセフHCが就任以来、多用してきたキックを封印し、つなぐラグビーを徹底。テンポ良くパスを回してアイルランド・ディフェンスを左右に揺さぶり、そしてじわじわと疲弊させた。

 逆転のトライには至らなかったものの、前半終了間際にはこれでもかとフェーズを重ね、アイルランドを自陣に釘付けにする。ハーフタイムを迎えてロッカールームに引き上げる足取りは、明らかに日本のほうが軽い。アイルランドの中4日に対して、日本は中6日。日程的なアドバンテージもたしかに効いていた。
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