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ゴルフ

「自分じゃないみたい」渋野日向子が“冴えたパッティング”で首位奪取!マネジメント力が思わぬ幸運を…

山西英希

2020.12.12

「パッティングがここまでいいのは久しぶりです。自分の思ったところに打てる回数がかなり増えてきています」と語っていたが、パッティングの好調さがショットにもいい影響を与えている。ベタピンにつけなくてもバーディを奪えるという思いからか、この日の渋野は無理な攻め方をしていなかった。グリーンを外しても寄せやすいエリアを狙い、確実にグリーンをとらえることを優先していた。初日よりもグリーンが小さいコースだったにもかかわらず、パーオンした回数は18ホール中14回と、前日の15回と大差ない。ラフからのショットでも、ランが多めに出ることを計算してグリーンの手前から攻めたり、距離がない場面では高いボールでグリーン上に止めていた。そのマネジメントが思わぬ幸運ももたらすことになる。

 17番パー4での第2打だ。このホールはグリーンの左サイドから奥にかけて池が広がっており、渋野は安全策をとって、ピンの右サイドを狙った。グリーンを外しても右奥なら池には入らない。16番パー3でボギーを叩いていただけに、ここでのボギーを避けたいと考えるのは当然であり、賢明な選択だった。ところが、力が入ったのか左へ引っかけ気味のショットになる。通常なら池もあり得たが、このときは左サイドから強烈な風が吹いており、その風にボールが押し戻され、ピンの左手前約2・5メートル地点に止まったのだ。それを沈めてバーディを奪ったのだから、あまりにも大きい1打だったといえる。
 
「自分じゃないみたいで、正直この結果に対してはびっくりしています」とホールアウト後の第一声で語っていたが、恒例の自己採点でも「120点!」と言うように、ショットとパットが見事にかみ合っていた。海外では昨年の『AIG全英女子オープン』を制して以来の単独首位だが、ぜひともこのまま一気に最終日を終えるまで突っ走ってくれることを願わずにいられない。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。
 

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