専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【有馬記念】ファン投票1位のクロノジェネシスは万全!牡馬の意地をかけたフィエールマン、 ラストランのラッキーライラックが迫る

三好達彦

2020.12.24

 芝の牡牝混合GⅠで牝馬の大攻勢が際立つ現況において、牡馬の大将格として気を吐いているフィエールマン(牡5歳/美浦・手塚貴久厩舎)はファン投票4位。今年はまだ2戦しかしていないが、天皇賞(春)は激闘を制して2連覇を達成。春秋制覇を目指した天皇賞(秋)では、彼にとっては不当とも思える5番人気という低評価を覆し、上がり最速(32秒7)という驚異的な末脚を繰り出して、アーモンドアイを半馬身差に追い詰めた。それも、クロノジェネシスと同様、レース序盤に不利を受けてのことであり、改めてGⅠ3勝の底力を見せつけることになった。

 昨年の有馬記念は終いの伸びを欠いて4着に敗れているが、これは凱旋門賞遠征からの帰国初戦という負担が影響した公算が大きい。23日に行われた最終追い切りのあと、手塚貴久調教師が「状態は去年より格段にいい。申し分ない出来」とコメントしているように、前回のような不安は見られない。

 天皇賞(秋)の2000mから2500mに距離が延びるのは、3000m以上のGⅠを3勝している彼にとっては間違いなく有利だし、鞍上にリーディングを独走するクリストフ・ルメール騎手が戻ってくるのもプラス材料。こちらも上位争いするのは間違いないだろう。
 
 ファン投票でクロノジェネシスに次ぐ2位にランクされたのは、このレースがラストランとなるGⅠ3勝のラッキーライラック(牝5歳/栗東・松永幹夫厩舎)。アーモンドアイと同期生だったたけに、3歳時には大舞台で頂点に立つことができない無念を味わった。

 しかしこのシーズンの最終戦となったエリザベス女王杯(G)では、逃げ込みをはかるクロコスミアをきっちり差して、手から喉が出るほど熱望したGⅠ初制覇を達成。今年は中山記念の3着を経て臨んだ大阪杯(G1)でクロノジェネシスを際どく降し、初の牡牝混合GⅠ制覇を成し遂げて、名実ともにトップホースの仲間入りを果たした。下半期も、8月末の札幌記念ではノームコアの3着をステップとしてエリザベス女王杯(GⅠ)では、またもクロコスミアの逃げを捉えて同レース2連覇を達成している。

 以前は「最後は怪我なく無事で」という意識が強く、調整でぎりぎりまで攻めなかったためか、引退レースで凡走する馬がまま見られた。しかし先頃のジャパンカップでのアーモンドアイや、昨年の有馬記念のリスグラシューの例でも分かるように、状態をびしっと仕上げて勝負をかけてくるのが当為となっている。22日の最終追い切り後、松永幹夫調教師は「前走を使って完全に仕上がってきた。いい感じです」と胸を張る。クロノジェネシスとの直接対決は2勝1敗。最後となる手合わせでライバルを降し、自ら引退の花道を飾る算段はできている。
(第2回目『伏兵編』は土曜日にリリース予定)

文●三好達彦

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号