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ラグビー

【ラグビーW杯をヒット記事で振り返る!】痺れるエンディングを導き出したサモアの敢闘精神。それを上回った日本の凄み

吉田治良

2019.11.11

3連勝を飾った日本代表には、自信がみなぎっている。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

3連勝を飾った日本代表には、自信がみなぎっている。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 粘るサモアも33分、さらにハーフタイムを挟んで44分にPGを決めて16-12と食らいつく。ともすれば焦りが芽生えてもおかしくない状況だったが、ジャパンの面々の頭の中は、どこまでも冷静だった。

 47分、2つ目のターニングポイントが訪れる。

 右サイドのタッチライン付近で得たフリーキック。「結構端っこだったし、僕自身は他のオプション(タッチキックからのラインアウト)でもいいかなと思っていた」と田村は振り返るが、この場面でキャプテンのラブスカフニが選択したのはショットだった。

 結果的に田村のPGは外れるのだが、ここで当初のゲームプラン──まずは勝利を確実にし、セーフティーリードを得てからボーナスポイントを奪いに行く──をチームとして再確認できたのが大きかった。

 後半の頭から投入されたHO堀江翔太は言う。

「プラン以外のことをやって、逆にトライを奪われることのほうが怖かった。ちょっと(意見が)割れたけど、あのキャプテンの判断で、『チャンスが来るまで待とう』と全員が同じ方向を向けた」
 
 そのチャンスを引き寄せたのは、アイルランド戦では封印した「キック」だった。
 
「スコットランド戦を見て、サモアに対してはキッキングゲームが効果的だと判断した」というジェイミー・ジョセフHCの狙い通り、田村や流が積極的に裏のスペースへボールを蹴り込むことで、じわじわとサモアの体力を削り取っていく。

 日本よりも休養日が2日少ないサモアは、シンビンによって14人で戦った10分間のダメージも重なり、徐々に抵抗力が低下。顎が上がったその瞬間を、したたかに日本が突く。55分、およそ4万人の「ニッポンコール」に文字通り背中を押されるように、ラインアウトからのモールで一気になだれ込み、NO8の姫野和樹がトライを奪うのだ。

 3つ目のターニングポイントを挙げるとすれば、この姫野のワールドカップ初トライで26-12と点差を広げてからのおよそ10分間だろうか。それでも膝を折らないサモアの反撃に遭い、ゴールライン手前まで迫られるが、これを途中投入のPRコンビ、中島イシレリとヴァル・アサエリ愛らのファイトもあって耐え凌ぐと、60分には自陣22メートルライン付近の相手スクラムを押し返してピンチを脱する。もはやジャパンの強みとなったスクラムは、この日も終始安定していた。

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