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モータースポーツ

角田裕毅、“皇帝ジュニア“ミック、“悪童“マゼピンーーF1ルーキー3人のデビュー戦の評価は?

甘利隆

2021.03.30

マゼピン(左)はリタイア、ミック(右)も完走最後尾の16位に終わった。(C)Getty Images

マゼピン(左)はリタイア、ミック(右)も完走最後尾の16位に終わった。(C)Getty Images

[父ほどのインパクトを残せなかった皇帝ジュニア]
「90%満足しました」とドイツのメディア『Berliner Zeitung』で振り返ったのは、F2タイトルを獲得し、昇格を果たしたミック・シューマッハ(ハース・F1チーム)だ。

 ハースのニューマシン、『VF-21』がほぼ昨年型から進化していないこともあり、予選は20人中19番手。7回のワールドチャンピオンに輝いた父のミハエルと同じ22歳でのデビューとはなるが、父は1991年のベルギーGPにスポット参戦し、予選7番手で世界に衝撃を与えた。マシンが参戦1年目ながら高い競争力を見せていた『ジョーダン・191』だったことから単純に比較はできないが、それに比べれば随分と地味なスタートとはなった。

 ただ、最も身近なライバルである、同じルーキーのチームメイト、ニキータ・マゼピンより上位で予選を終えられたのは、重要な成果だ。

 本戦ではセーフティーカーによる再スタート時にスピンを喫するなど、決勝でも良い場面はなく、最後尾の16位完走に終わったが、父ミハエルはクラッチのトラブルでデビュー戦を早々にリタイアしているため、リザルト上では上回ったことになる。

「経験を積んで、全体的に多くのことを学ぶことができたので、それを次のレースにつなげていきたいと思う。最後尾でも進歩していると感じる」と本人は無事フィニッシュできたことを前向きに捉えている。
 
[予選・決勝とも“悪童”ぶりを印象づけたマゼピン]
 一方、F2ランキング5位からデビューしたマゼピンは、逆の意味でインパクトを残した。

 予選Q1でアタックラップに入る前はお互いに追い抜きをかけないという紳士協定を破り、先行する4台を一気にオーバーテイクした挙げ句にその先のコーナーでスピン。イエローフラッグが掲示される事態となり、後続車のアタックを台無しにした。

“悪童”ぶりで知られるロシア出身の22歳は「無線でチームから追い抜いても大丈夫」と指示があったと説明するが、予想外の動きはクラッシュにつながりかねないため、あまり褒められた行為だとはいえない。

 決勝でもスタート直後の3コーナーでクラッシュし、あっけなくデビュー戦を終えた。

 チーム代表のギュンター・シュタイナーも今週末のパフォーマンスには不満なようで、「彼はレースを危うくし、それについて気分が悪いのは確かだが、確かに学んではいる。次のレースウィークではきっと良い結果を出してくれるだろう」とブラジルのインターネットメディア『Universo Online』にやや厳しいコメントを残している。

文●甘利隆
著者プロフィール/東京造形大学デザイン科卒業。都内デザイン事務所、『サイクルサウンズ』編集部、広告代理店等を経てフリーランス。Twitter:ama_super

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