穴馬としてリストアップしたい候補は複数存在する。父母ともに三冠馬という超良血馬であり、３連勝でクイーンカップ（ＧⅢ、東京・芝1600ｍ）を制したアカイトリノムスメ（牝３歳／美浦・国枝栄厩舎）。前述したチューリップ賞でメイケイエールと同着優勝を果たした外国産馬のエリザベスタワー。１月のフェアリーステークス（ＧⅢ、中山・芝1600ｍ）を強烈な末脚で制したファインルージュ（牝３歳／美浦・木村哲也厩舎）。デビュー２戦目のクイーンカップでアカイトリノムスメにクビ差まで迫ったアールドヴィーヴル（牝３歳／栗東・今野貞一厩舎）。ただ、本稿で穴馬として一番に推したいのは、３戦２勝のソングライン（牝３歳／美浦・林徹厩舎）である。

　新馬戦（東京・芝1400ｍ）は出遅れが響いて２着に敗れるものの、未勝利戦（東京・芝1600ｍ）では後方一気の末脚で突き抜け、２着に３馬身差を付けて楽勝。このときの走破タイム（１分34秒１）は、同開催の２歳マイル戦の最速タイムだった。続く紅梅ステークス（Ｌ、中京・芝1400ｍ）では馬群をさばいて抜け出し、またも２着に３馬身差をつけて快勝した。２歳６月のデビュー戦を敗れたあと約５か月の放牧休養に出したのが功を奏して、未勝利戦での馬体重は前走比で＋14㎏と成長。それ以降の２戦は別馬になったかのような強さを見せている。

　重賞初挑戦がＧⅠ、初めての右回りコースと、立ち塞がる壁は分厚く高い。それでも食指を伸ばしたくなるほどの才気に満ち溢れているのがソングラインである。
  　ここまで挙げてきた馬たちに、オッズほどの力量差はないのでは、と筆者は見込んでいる。それでもソダシの安定感、サトノレイナスが繰り出す鋭い末脚のコンスタントさは評価せねばなるまい。

　本命党はこの２頭を軸とした３連複で手広く流してみるのがいいだろう。懐に余裕があれば、点数は増えるが、３連単の２頭軸マルチで勝負する手もある。

　穴党ならば、ソングラインをはじめと人気薄のなかから狙いを定め、単勝の一本買いで攻めるのが面白い（ちなみに前日売りでは４番人気のアカイトリノムスメでも単勝オッズが約10倍ある）。また、リスクヘッジの意味も含めて、馬連で人気サイドへ流してもいいだろう。

　史上９頭目の無敗の桜花賞馬が生まれるか。対抗馬たちがリベンジを果たすのか。はたまた穴馬の激走で波乱になるか。注目の一戦のゲートが開くのは11日の15時40分である。

文●三好達彦