相手の切れの良いチョップにも動じずに余裕の試合運びを見せたガッツに、木下も流石の跳躍力からの顔面へのドロップキックで流れを変えると、気合のエルボーを挟み、高速フィッシャーマンズ・スープレックスでラッシュをかける。

　すると「投げるぞ！」と雄叫び後、佐山を２回も葬った必殺のジャーマン・スープレックスで勝負をかける。が、投げ切れずにそのまま潰れる形でダウン。立ち上がったガッツは、ダンプカーのようなラリアット、パワースラム、WARスペシャルと畳み掛け、カウント２でわざわざ起こしてからフィニッシュへ持ち込んだ。

　しかし、驚異のカウント2.9で返した木下に、驚きを隠せないガッツは必殺のゴーストバスターでトドメを刺しにいくが、これを読んでいた現王者は電光石火の横入り式エビ固めをガッチリ決め、見事としか言いようのないカウント３を奪取し、初防衛に成功してみせた。
 
　破れたガッツは「復帰戦でタイトルマッチという権力を使った横暴なことをして、勝てると思ったらやっぱり落とし穴があったな。見事に丸め込まれてた。やっぱお前チャンピオンだ！」キッパリと負けを認め、自らの手でベルトを木下の腰に巻き勝者を称えた。

　ベルト奪取による３つの願いを叶えられなかったガッツは、「俺自身は統一をまだ諦めていないんで、機が熟したらまた動きたいと思いますね」と前を向いた。

　さらに「TTTの地元、初新宿FACE大会を必ず成功させる。そしてTTTプロレスリングを団体として格上げする」と近未来の目標を定めたガッツ。体調も万全、脂の乗り切った“鬼将軍”は最終目標「インディー統一」に向けて、さらに勢いを加速させる。

取材・文●萩原孝弘