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格闘技・プロレス

【TTT】「生きていながら、死んでいた」故障とコロナ禍で一時はふさぎ込んだTORU が復帰戦。最後は笑顔に

萩原孝弘

2021.01.17

故障とコロナ禍でふさぎ込むこともあったTORUだが、復帰戦を終えると笑顔を見せた。

故障とコロナ禍でふさぎ込むこともあったTORUだが、復帰戦を終えると笑顔を見せた。

 “インディー統一”を掲げるプロレス団体TTT(TOTAL TRIUMPH TEAM)の「旗揚げ1周年記念興行」が新木場で行なわれた。緊急事態下で試合開始を一時間前倒ししての開催も、140人の上限いっぱいの観客が訪れ、完売御礼の札止めとなった。

■6月に戦線離脱

 セミファイナルでは前大会で復帰を宣言し、阿部史典とのシングルを直訴。“アベトオル”としてタッグパートナーとしても、好敵手としても申し分ない相手でもある阿部が快諾し、注目のシングルマッチが決定した。

  大阪に居を構え、関西では何本ものベルトを手にしていたTORUは、さらなる高みを目指し上京。ガッツワールド時代から参戦していた経緯もあり、TTTに旗揚げメンバーとして参加し、その実力から絶対エースとして団体の顔としての活躍が期待されていた。

 しかし6月上旬、試合中に右肩を脱臼。「再び脱臼する可能性を2%に抑えるための、いかつい手術」を受けたこともあり、長期欠場を余儀なくされた。

「生きていながら、死んでいた」プロレスラーとして上京しながら、プロレスのできない日々。さらにコロナ禍で閉塞感漂う世の中、孤独で厳しいリハビリをこなすだけの毎日に、ネガティブな感情ばかりが胸に去来する。「エースと呼ばれながら、旗揚げわずか2戦で戦線離脱してしまったことに対しての自責の念が凄まじかったですね」と、心が折れそうな時も一度や二度ではなく「大阪に戻ろうか」とまで脳裏をよぎったこともあった。
 
■後輩たちの台頭

  TTTは“日本各地から活きのいいレスラーを集め、インディー統一を図る”ことをコンセプトに掲げる団体である。「政岡純、谷口弘晃、TiiiDAといったデビューの頃から深く関わってきた後輩たちの躍進が嬉しくもあり、忸怩たる思いもありました」。大阪や沖縄で活躍していたTORUが各地で目にかけていた“弟分”たちに、胸を貸すことも不可能。さらに自らのホームリングで暴れ回り、観客に喝采を浴びる姿を「会場の隅でそっとのぞき込むように見入る」ことしかできない現状が「余計に焦りを加速」させ、心身のバランスを保つことにも苦心した。

 現在TTTは旗揚げ時に所属4人の中で一番格下だった、弱冠24歳の佐山駿介がメインで奮闘し、急成長を遂げている。「佐山がメイン戦線で団体を引っ張っている今、タイトルを返上することがあるように、TTTのエースという称号を一度返上したい」と、佐山の実力と、自らの現状を鑑みて「下から這い上がる」と決意。満を持して復帰戦のリングへ向かった。
 

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