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格闘技・プロレス

“絶対有利”のダスマリナス戦の先に井上尚弥はなにを見据えるのか「ここがゴールではない…」【現地発】

杉浦大介

2021.06.19

圧倒的有利と見られていた昨年10月のモロニー戦。ここでも井上は地力を遺憾なく発揮した。(C)Getty Images

圧倒的有利と見られていた昨年10月のモロニー戦。ここでも井上は地力を遺憾なく発揮した。(C)Getty Images

 ここまで仮説を述べてきたが、17日に昨年10月以来のリング登場を目前にした井上には、油断と気負いのどちらもまったく感じられなかった。

「(視線が統一戦に集中していることは)やりにくさにはならないですよ。自分もそれを見据えていますし、ここがゴールではないです。もちろん油断はしていませんけど、やっぱりこの試合の位置付けっていうのは、この先の統一戦っていうものになってくるので、そこに関しては別になんの不安もないです」

 ダスマリナス戦は“通過点”であると素直に捉え、それでいて必要以上のアピールにこだわるわけでも、相手を軽く見るわけでもない。練習成果を発揮し、普通に戦えば、おのずと統一戦も見えてくる。いまの井上はそうとでも言いたげな自信を漂わせており、非常に充実した状態に思えるのだ。
 
 海外戦は4度目、ラスベガスでも2戦目とあって、場慣れした印象もある。年齢的にも全盛期にいる東洋の怪物は、おそらく心身ともに最高の状態。だとすれば、やはりこの試合は下馬評通りの内容、そして結果に終わるのだろう。

 聖地ラスベガスを舞台に、米スポーツネットワーク『EPSN』で全米に生中継される正真正銘のビッグステージ。今回はどんな勝ち方で魅了してくれるのか。たとえ相手が格下であろうと、ボクシングファンは日本が誇るモンスターの“ピーク・パフォーマンス”を絶対に見逃すべきではない。

取材・文●杉浦大介

【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。
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