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ラグビー

「W杯8強超え」への切り札になれるか?ラグビー日本代表・齋藤直人が秘める可能性

向風見也

2021.07.05

 日本代表の候補に選ばれる早稲田大学3年時は、サントリーの活動へ体験参加。在籍していた世界的選手が、練習開始の1時間前からグラウンドやジムへ現れるのに触れる。

 いまでは自らも、ミーティングの1時間以上前から体幹を刺激する運動、腰回りのストレッチといった「準備」を欠かさない。自宅でも毎晩、入念に筋を伸ばす。「もともと(身体のケアは)やるほうでした」。ちなみに学生寮では、オフに食べる菓子さえも「Amazon」で取り寄せたノンオイルのポテトチップスだった。

 いまの日本代表は、ゲーム主将経験のあるピーター・ラブスカフニ曰く「同じ場所にいては後退するだけ。日々の掃除など、小さいことをやることが、大きなことに繋がる」と信じる。齋藤も親交のあるリーチ マイケル主将ら、複数名のリーダー陣が常に対話する。首脳陣の意を踏まえつつ、互いに助け合う文化を紡ぐ。

 日頃の生活態度をパフォーマンスと紐づける齋藤の生き様は、これから代表入りを目指す戦士のロールモデルともなりえそうだ。

 ちなみに齋藤は、所属先のサントリーのリーダーズグループに新人ながら加入。日本代表のそれとよく似た構造の一部となれたことを、「いろんな場所でリーダーをやってきたリーダーの、チームをよくするための意見を聞ける」と感謝。あくまで自軍に限った話題として、こう続ける。

「これから自分もリーダーになっていくはずで、そうなるうえでは参考になる。色んな考え方も学べています」
 
 伸びしろもある。サントリーの正スクラムハーフには、日本大会の日本代表でリーダーの1人だった流大が屹立。流より5学年下の齋藤は、リザーブスタートの多い現状を変えるべく部内における「信頼感」を得たい。

「プレーで劣っているとなれば練習するしかないですが、そこ(目に見えないものの獲得)って難しいな…」と述べつつ、最後は、心を整える。

「正しいプレーをして、グラウンド外で正しいことをして、正しいことを発信することで、信頼を得られる。そこには年齢も関係ないと、(チームの)コーチにも言われています」
 
 2019年のワールドカップ日本大会で8強入りした現体制のナショナルチームへ、高速展開という名の新たなアプリを導入した齋藤。2023年の同フランス大会を目指すにあたり、人格でもチームを進化させられそうだ。

文●向風見也

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