夢の対戦は、コーチ、選手にとっては現実を知る絶好機だ。
6月26日、スコットランドはエディンバラのマレーフィールド。ラグビー日本代表がブリティッシュ&アイリッシュ(B&I)ライオンズに挑む。
B&Iライオンズはイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドという欧州の強豪4協会が4年に1度だけ編む連合軍。その都度、南半球の強豪国を訪れる。今回は南アフリカへ渡る前に、地元で日本代表と初めてぶつかる。希少なテストマッチ(代表戦)だ。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)率いる日本代表は、初めて8強入りした2019年のワールドカップ日本大会以降、代表戦をしていない。2023年の同フランス大会に向け、再始動したばかりだ。
ジョセフHCは「自分の仕事、プランにフォーカスすることで、自分たちの能力を出せる」。5月下旬から実施の別府合宿では、海外組を除く参加選手が従前の長所を再確認した。
フランスのクレルモン所属、松島幸太朗は続ける。
「ジャパンはチャンスがあればすぐに展開ラグビーもキッキングゲームもできる。そこをスマートにやっていって、自分たちの攻撃する時間を増やしたいです」
日本大会で5トライを奪ったウイング兼フルバックの言葉通り、蹴ったボールを望む位置で再獲得したり、素早い球さばきとオフロードパスで防御の隙間をえぐったり。グラウンドの左右、中央へ散った個性が、トニー・ブラウンアタックコーチの見取り図を踏まえて有機的に動く。スコット・ハンセンディフェンスコーチが教える鋭い出足の防御、長谷川慎スクラムコーチの唱えるまとまり重視のスクラムも特徴的だ。
12日、静岡のエコパスタジアムでの強化試合では「JAPAN XV」の名義でサンウルブズを迎え32-17で勝利。もっとも前半は、3-14とリードされた。攻撃中の接点で、日本代表から向こうへ回ったベン・ガンターらに圧をかけられたのが主因だ。
球の出どころで手元を狂わせれば、自慢の攻撃戦術は絵に描いた餅となりかねない。さらにB&Iライオンズは、この接点のエリアでサンウルブズ以上の強さを示すだろう。
B&Iライオンズ戦までに接点の質をどこまで改善できるかは、フランス大会での予選突破の可能性をも占いそうだ。防御、スクラムの形も、久々となる国際的な強度のもとで首尾よく遂行されるかが注目される。
「自分たちにフォーカス」
ジョセフHCは何度も強調する。
「日本のメディアの方々には、相手チームの選手に関しての話はしたくない。なぜなら、自分たちにフォーカスを当てたいからです。特にいままで試合に出ていない選手は、自分たちにフォーカスすることで力を発揮できるのではないでしょうか」
対戦相手のB&Iライオンズが攻防の起点のセットピース(スクラム、空中戦のラインアウトなど)で力強さを示そうとするなか、試合当日は身体をぶつけ合うフォワードの控え選手の人数を通常より1枚多くする。理由はこうだ。
「相手は身体の大きな選手を擁する。ラインアウトからのモール(空中戦を経て塊を作る動き)など、セットピース主体で組み立てる。我々は自分たちのやりたいことを妥協しないのと同時に、フォワードの控えを多くすることでそこ(相手のプラン)に対応したい」
自分たちと向き合う作業を、B&Iライオンズ戦の対策、ひいてはフランス大会へのベンチマークの設定につなげたい。ワールドクラスに挑む今度の80分で、自分たちがやろうと思ってできたこと、できなかったことを整理する。
文●向風見也
6月26日、スコットランドはエディンバラのマレーフィールド。ラグビー日本代表がブリティッシュ&アイリッシュ(B&I)ライオンズに挑む。
B&Iライオンズはイングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドという欧州の強豪4協会が4年に1度だけ編む連合軍。その都度、南半球の強豪国を訪れる。今回は南アフリカへ渡る前に、地元で日本代表と初めてぶつかる。希少なテストマッチ(代表戦)だ。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)率いる日本代表は、初めて8強入りした2019年のワールドカップ日本大会以降、代表戦をしていない。2023年の同フランス大会に向け、再始動したばかりだ。
ジョセフHCは「自分の仕事、プランにフォーカスすることで、自分たちの能力を出せる」。5月下旬から実施の別府合宿では、海外組を除く参加選手が従前の長所を再確認した。
フランスのクレルモン所属、松島幸太朗は続ける。
「ジャパンはチャンスがあればすぐに展開ラグビーもキッキングゲームもできる。そこをスマートにやっていって、自分たちの攻撃する時間を増やしたいです」
日本大会で5トライを奪ったウイング兼フルバックの言葉通り、蹴ったボールを望む位置で再獲得したり、素早い球さばきとオフロードパスで防御の隙間をえぐったり。グラウンドの左右、中央へ散った個性が、トニー・ブラウンアタックコーチの見取り図を踏まえて有機的に動く。スコット・ハンセンディフェンスコーチが教える鋭い出足の防御、長谷川慎スクラムコーチの唱えるまとまり重視のスクラムも特徴的だ。
12日、静岡のエコパスタジアムでの強化試合では「JAPAN XV」の名義でサンウルブズを迎え32-17で勝利。もっとも前半は、3-14とリードされた。攻撃中の接点で、日本代表から向こうへ回ったベン・ガンターらに圧をかけられたのが主因だ。
球の出どころで手元を狂わせれば、自慢の攻撃戦術は絵に描いた餅となりかねない。さらにB&Iライオンズは、この接点のエリアでサンウルブズ以上の強さを示すだろう。
B&Iライオンズ戦までに接点の質をどこまで改善できるかは、フランス大会での予選突破の可能性をも占いそうだ。防御、スクラムの形も、久々となる国際的な強度のもとで首尾よく遂行されるかが注目される。
「自分たちにフォーカス」
ジョセフHCは何度も強調する。
「日本のメディアの方々には、相手チームの選手に関しての話はしたくない。なぜなら、自分たちにフォーカスを当てたいからです。特にいままで試合に出ていない選手は、自分たちにフォーカスすることで力を発揮できるのではないでしょうか」
対戦相手のB&Iライオンズが攻防の起点のセットピース(スクラム、空中戦のラインアウトなど)で力強さを示そうとするなか、試合当日は身体をぶつけ合うフォワードの控え選手の人数を通常より1枚多くする。理由はこうだ。
「相手は身体の大きな選手を擁する。ラインアウトからのモール(空中戦を経て塊を作る動き)など、セットピース主体で組み立てる。我々は自分たちのやりたいことを妥協しないのと同時に、フォワードの控えを多くすることでそこ(相手のプラン)に対応したい」
自分たちと向き合う作業を、B&Iライオンズ戦の対策、ひいてはフランス大会へのベンチマークの設定につなげたい。ワールドクラスに挑む今度の80分で、自分たちがやろうと思ってできたこと、できなかったことを整理する。
文●向風見也