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格闘技・プロレス

“世紀の一戦”武尊vs那須川天心は実現するのか?カギとなる複雑な条件「K-1でもRIZINでもない中立なリング」

橋本宗洋

2021.10.16

残り2試合でボクシングに転向する那須川。9月にはRISEバンタム級王者の鈴木を判定3-0で下した。写真:徳原隆元

残り2試合でボクシングに転向する那須川。9月にはRISEバンタム級王者の鈴木を判定3-0で下した。写真:徳原隆元

 榊原氏は、この試合の実現に関して「コーディネート、調整役」だと語っている。K-1、RISE、スポンサー、放送局、配信局、そうした各方面のコンセンサスが必要だと。

 これだけ大きな試合になると、ことは単純ではない。那須川がK-1に、あるいは武尊がRISEに乗り込むということは考えにくいし、RIZINも那須川のホームだ。

 武尊が理想としているのは、そうした既存のリングではない場所での闘い。大晦日、那須川の試合を視察した後でこんなコメントを残している。

「片方(の団体)を脱退して片方に行くというやり方はしたくなかった。そのことで片方の団体が落ちてしまうので。誰かが落ちたり傷ついたりしてはいけない。どうにか格闘技界がひとつになるような試合にと思って動きてきたつもりだったので。

 この試合をやるには中立なリングで。僕はK-1のチャンピオンとして、天心選手はRISE、RIZINのチャンピオンとして。理想の形はK-1でもRIZINでもない中立なリングを作って、そこでやりたいと思います」
 
 榊原CEOの表現を借りれば「みんなが少しずつ我慢したり譲ったりする」、武尊の言葉では「誰かが落ちたり傷ついたりしない」、それが中立のリングということだ。K-1でもRISEでもRIZINでもない大会。それが実現すれば、日本格闘技界が一丸となっていることもアピールできる。

 ただもちろん、その「中立なリング」の実現は簡単ではない。それぞれの立場でどこを譲り、何を譲らないか。その調整には時間がかかってしまう。誰が会場を抑え、誰がチケットを売るのか。利益の分配は。これまでRIZINを中継してきたフジテレビが放送するのか。K-1とRISEを盛り上げてきたABEMAはどう絡むのか。考えなければいけないことは山のようにある。

 実現できるか否か。もう時間が少なくなっているのは間違いない。榊原CEOは、9月末の時点で、やるにせよやらないにせよ「あと数週間」がリミットだとしている。交渉(調整)自体は継続して行なわれており、我々としてはそれがまとまるのを願うしかない。

 武尊にとっては悲願の一戦。現在の那須川は「決まればやる」というスタンスだがこの試合の意味や大きさを充分に理解しているし、武尊の実力も認めている。実現したとして、コロナ禍の中で会場にどれくらいの観客を収容できるのかも気になるところ。タイムリミットとの闘いは続く。

文●橋本宗洋

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